今年の夏に4名のチーム編成でとりかかったプロジェクトがついに完成しました。新進写真家である加治枝里子さんがストックホルムに3ヶ月滞在して撮影に従事し、コーディネートと執筆をストックホルム在住の女性3名で分担しました。
初めにこのお話しをいただいたとき、いろいろ仕事が立て込んでいて一度お断りしたのですが、どうしてもという編集部の熱意を感じ、ストックホルムに精通した2名、イラストレーター兼フードコーディネートもされる見瀬理恵子さんと、ストックホルムに日本のデザインショップKIKIを展開している明知直子さんの協力を得て、なんとか最後まで仕上げることができました。
アートディレクションはセキユリヲさん率いるeaが手がけ、北欧系の最強メンバーが関わっています。明知さんのダーラナやゴットランドへ飛んでくれるフットワークの軽さは、若さならではですね。私はそろそろ次世代を育てる側にまわろうかなと感じたプロジェクトでもありました。
幸せ度の高い北欧諸国ですが、幸せに暮らせているのは誰でもない、自分たちの努力の成果なのです。決して贅沢はせず、古い家を安く手に入れ、何年もかけて自分の好みの家に仕上げていったり、親世代から受け継いだりセカンドハンドで手に入れた古い家具は、ペイントをしたり生地を張り替えたりして生まれ変わらせています。
どうすれば自分が幸せであるかを知っているので、そのための努力は惜しみません。他人と比較するより、自分がどうしたいかを常にいちばん大切に考えています。だから皆がそれぞれに異なる暮らし方をしており、そのひとつひとつがとても輝いています。そんな10軒の異なる幸せな暮らしぶりをご堪能いただければ幸いです。
10軒の中に1軒だけオフィスが入っています。今をときめくデジタルクリエイティブエージェンシー、ノースキングダムです。36名ほどのスタッフでコカコーラやトヨタなど国際企業との仕事をバリバリと手がけるエージェンシーのストックホルムオフィスは、クリエイティブになるためのあらゆる工夫が施されています。こんなオフィスで働きたい!と思わず願ってしまいます。家にいるようなリラックスした雰囲気を作り出すことと、クリエイティブになるための環境ということで、インテリアはモードデザイナーであるリーナ・セディグが担当しました。働く場所でも幸せ度の高い北欧の生活を見せたいということで、今回10軒のひとつに入れることになりました。
スウェーデン人の質素な暮らしぶりの話しを聞いていると、日本の古き良き時代の暮らしぶりを彷彿させます。日本でも物を大切にする心があり、季節感を堪能し、自然と共生する暮らしを享受しています。ここに登場する10軒の暮らしぶりは、決して遠い国の夢物語ではありません。日本に暮らしていても実践できるヒントがいっぱいつまっています。