スウェーデンのインタラクティブ広告系が強いワケ

| 2011-09-17

ABSOLUT BLANK

今年の1月から始まった企画「北欧企業9社訪問―世界に通用するアイデアとクリエイティブ力を学ぶ8日間」が無事に終わりました。当初は5月に開催予定で進めていましたが、震災の影響で9月に延期となりました。一時は中止されるかなと懸念しましたが、なんとか参加者も集まり、無事に催行の運びとなりました。

視察ツアーは、スウェーデンを代表するインタラクティブ広告代理店やデジタルエージェンシーを訪問し、彼らの戦略や仕事内容、今のスウェーデンデジタル界を知ることが目的です。小国であるスウェーデンがこの業界で世界をリードする国のひとつであり、その力はいったいどうやって培われるのかを探る視察でもありました。世界の人々を魅了するアイデアソースとクリエイティブ力はどうやって得ているのか興味津々の視察となりましたが、各企業惜しみなく情報を公開して下さり、身のある視察になったのではと感じております。

デジタル学校を含めて9社を訪問しましたが、どこも本質は同じだったように思います。キーワードは「ヒエラルキーのない自由な意見交換」「新人、中堅に関係なくよいアイデアを採用」「クリエイティブ重視(数字は後からついてくる)」です。改めて、スウェーデン人の懐の深さと成功を共有したいという思いが伝わってきました。自分が幸せでなければ人を幸せにすることができないと信じ、皆が自分の仕事に誇りを持ち、楽しんでいます。彼らの実践していることは人生設計そのものにも通じるところがあり、自分が今後どう動いて行けばいいのかのヒントも得られたように思います。

今回唯一訪れたクライアントはアブソルートウォッカです。トップ画像は新企画、アブソルートブランクの広告で、携帯アプリを使ってオリジナルのボトルデザインを作ろうというものです。ウォッカを宣伝するために、アブソルートはアルコール飲料という言葉を一切使いません。アブソルートウォッカについての説明やカクテルレシピは、ウェブサイトに掲載されています。人の目に触れる広告は、あくまでもヴィジュアルに興味を惹くものにこだわり、コレクターもいるほどデザインの優れたボトルに力を入れています。コカコーラボトルのように、ボトルそのものが広告塔となるような斬新なデザインを発信し続けています。一方、昨年はI’M HEREという、ロサンジェルスに暮らす2人のロボットの交流を描いたショートフィルムをウェブ配信しました。このフィルムの中でアブソルートウォッカは登場しませんが、アブソルートの企業イメージを高めることに成功しました。

クリエイターの斬新なアイデアをクライアントに理解してもらうためには、アイデアの初期の段階からクライアントを巻き込み、しっかりとクリエイターの意思を伝える必要があります。いきなり斬新なアイデアを持って行っても理解してもらえないので、段階ごとにクライアントにも納得してもらいながら、同じ目的に一緒に向かって行くことが大切だとのことです。そのためには少々お金がかかっても、アイデアを実現できることを証明する、完成品に近い試作品を作ることもあります。クリエイティブ性の高いものは絶対に理解してもらえるという高い志しがあるからこそ、思い切ったことができるのです。よいアイデアは心に響きます。そんなアイデアに出会うと、誰もが共感するそうです。心に響かないアイデアは、まだどこか足りないのです。とはいえ、いつも成功するわけではありません。いくつもの失敗を経て、その経験が成功につながっていくので、失敗を恐れずに、とにかく一歩踏み出すことが最も大切だそうです。そして採用した人材を信じて仕事を任せる、完全分業性でひとりひとりが責任を持って自分の役割を果たす、有能な人々がそれぞれの仕事をきっちりこなすことにより、大きな仕事の成功へとつながっていきます。

スウェーデンの広告は、商品そのものを目立たせるのではなく、その裏側にある本質を理解してもらい、共感してもらうことで商品や企業イメージを高めるスタイルが主流です。人々は本能的にどのような行動を取るのか、人々の本能的な部分に訴えかけるためにはどのような広告が有効か、徹底的なリサーチを通して人々を魅了する広告を作り出しています。

最後に10年後の広告業界はどうなっているかという質問に対し「広告」という言葉はなくなっているのではないか、 というお答えをいただきました。今後はますますブランディングが大切な世の中になり、メガに限らず人々を魅了するコンテンツが求められて行くのではないだろうか、ということです。デジタルが当たり前の世の中になっていくにあたり「デジタル」という言葉自体もなくなっていくのではないか、とは数人の方がおっしゃっていました。

今回の視察のレポートは、宣伝会議のブレーン誌2011年12月号に掲載されています。

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Category: デジタルエージェンシー, 北欧デザイン&インテリア

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