当サイトではいろいろなスウェーデンデザイン情報を発信していますが、最近注目度が高まっているデジタルクリエイティブエージェンシーについてご紹介しましょう。デジタルエージェンシーはウェブやTVでのデジタル映像を主に手がけています。特に最近は企業サイトで映像プロモーションが欠かせません。派手派手しい映像も多いですが、しっとりと心に残る映像にも出会います。ゲーム感覚で楽しめたり、自分の名前を入れることでオリジナリティーのあるものになったり、発信側だけでなく、訪問者も一緒に楽しめるのが特徴です。今までの広告は企業からの一方的な発信でしたが、ソーシャルメディアの発達で、これからはますます消費者参加型の広告が増えていくことでしょう。
スウェーデンのデジタルクリエイティブエージェンシーは、2000年以降にどんどん増え始め、今では国際広告祭で賞のノミネート常連国として注目されています。北欧の小国がどうして、と思われるかもしれませんが、スウェーデンは早くから情報社会への基盤が整い、2010年には16〜54歳のブロードバンドアクセス率が90%となり、携帯電話の普及率は100%を超えています。IT競争力ランキングでは、世界第1位のIT先進国に認定されています。そんな環境もあり、デザイン大国でクリエイティブな人々の集まるスウェーデンには優れたデジタルエージェンシーが次々と生まれています。アメリカやイギリスなどの大国と異なるのは、企業スケールが小さいことです。30人程度で国際企業の仕事を請け負っているところもありますが、小さいからこそよりクリエイティブな仕事ができるのかもしれません。
まずはNorth Kingdomからご紹介しましょう。2008年に一度取材をした経緯があり、3年経った今年また取材する機会を得たのですが、オフィスも移転してスタッフも増え、この3年でいかに発展したかを目の当たりにしました。幼なじみの2人が2003年にスウェーデン北部のフェレフテオに本社を構えました。今ではストックホルムにも多くのスタッフを抱え、アディダス、トヨタ、コカコーラなど世界を代表する大企業の仕事を請け負っています。彼らがいつも気にかけているのは、仕事の質と創造性です。仕事の完成度には妥協を許しません。デジタルメディアは常に進歩しているので、今まで誰もやったことのない限界に挑戦し、いつも何か新しいことを考えています。世界的に評価され国際的な広告祭で戦うためには、常にクリエイティブであることが大切だといいます。そのためのオフィスは驚きの環境です。落書き可能な壁やカラフルなインテリア、トイレやシャワー室も工夫が施されています。常にクリエイティブであるために、スタッフ個々のクリエイティブな部分をオフィスで晒して共有し、お互いにますますクリエイティブになっていくのです。