ヘムスロイド100周年、伝統工芸品の展示会

今年で100周年を迎えたスウェーデン手工芸協会(Svensk Slöjd/スヴェンスク・スロイド)では、全国でさまざまなイベントを行っています。ストックホルムでは、5月から始まった北方博物館での織物展示会、そして6月6日からはリレバルチ美術館プリンス・エウシェン美術館にてヘムスロイド展が開催されます。ヘムスロイドには民族衣装に見られる凝った刺繍、織物、木工など、すばらしい手仕事があります。シンプルで機能的なスウェーデンデザインの基本はヘムスロイドにあると思います。北欧ならではの鮮やかな色彩は、色使いの豊富な民族衣装の刺繍から影響を受けているのではないでしょうか。デザインがグローバル化して各国のデザインの違いが分かりづらくなってきた昨今、戻るべきは原点です。ヘムスロイドにスウェーデンデザインの本質を見ていただけます。

ヘムスロイドとはスウェーデン語で手工芸を意味します。100〜200年前のスウェーデンは、農業と手工芸で成り立っていた北ヨーロッパの貧困国でした。手工芸に関しては17世紀ごろに遡る歴史があり、各地で独特な手工芸が発達しました。しかしながら、現代では日本と同様に伝統工芸をビジネスとして成り立たせることは困難であり、次世代に引き継ぐことが難しくなっています。廃れつつある伝統工芸は、地元の人々や手工芸を愛する人々によってヘムスロイド協会が作られ、必死に守られています。

スウェーデンの手工芸協会は今から100年前に設立されました。現在では全国27の協会を取りまとめ、全国の協会から作品をセレクトして販売しているショップ、協会所属の出版部門、各協会の活動を紹介している「ヘムスロイド誌」を運営しています。ヘムスロイドの作品は編み物、刺繍、木工、陶器、鉄製品など多岐に渡ります。各地で広がったデザインやパターンも多く、名前のついた有名なものから、あまり知られていない無名なものまで多数あります。有名なものはダーラナ地方のダーラナホースに施されている「クルビッツ」という花模様をモチーフにしたパターンです。民族衣装の刺繍パターンにも使われ、今でも人気のパターンして多くのデザイナーがインスピレーションを受けています。編み物のパターンは各地方の名前がついているものが多いようです。

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