スウェーデンハウスの新しいコンセプト「Mjuk」のスウェーデン人女性のライフスタイルがウェブで公開になっています。自分らしい暮らし方を実践している4名のスウェーデン女性を紹介していますが、よく聞かれるのが、彼女たちの暮らしは特別なのではないか、ということです。
北欧のライフスタイルは別世界のできごとのようにとらわれることが多いようですが、ライフスタイルそのものに大きな違いはないように思います。
スウェーデンの女性たちは実に自分らしく自由に生きていると感じます。日本との大きな違いは、まわりの目を気にせずに自分にとって心地よい暮らしを実践している、ということでしょうか。
私も日本に帰ってくると、こんな恰好でいいのか、身ぎれいにしなければいけないのではないか、などと余計なことを考えてしまいます。スウェーデンでは本当に自分の好きな恰好をし、自分を良く見せようということをほとんどしません。
そんな暮らしが妙に心地よく、ぬるま湯に浸かっているような生活をしています。全ての判断基準が自分である、ということがとても心地いいのですが、それは他人に依存せずに自分自身が自立していなければできないことかもしれません。
さて、先日ライフスタイルのセミナーを行い、自分らしい暮らしをしているスウェーデン女性についてのお話しをさせていただきました。
北欧は世界一幸せな国と言われますが、そう言われることに少なからず違和感を感じます。幸せは待っていれば降ってわいてくるものではありません。幸せは誰もが身近に持っていることで、そのことに気がつくことです。
毎日の小さな幸せに感謝しながら、家族ともに自分たちに見合った暮らしをしているスウェーデンの人たちの近くにいることで、私自身の幸せも自然と感じられるようになりました。ひとりひとり幸せの形は異なり、それが分かるのは自分しかいません。
セミナーを通じて感じたことは、日本では自分をある理想の型にはめてしまって、その通りにしなければいけないという自意識過剰による緊張と孤独の中で思い悩んでいる人が多いのではないかということです。
例えば介護で大変な思いをしている場合、リフレッシュする時間を取る工夫をしてみてはいかがでしょうか。完璧に介護をしなければならないという自意識の中に閉じ込められ、自分で身動きを取れなくしてしまっていないでしょうか。
世間の目が気になるとしたら、それは大きな間違いです。スウェーデンでは介護を実に上手にこなしています。公的支援を頼ったり他の家族に頼ったり、決して自分ひとりで抱え込みません。ひとりで抱え込んで自分が壊れてしまうことを最も恐れているからです。そうなってしまっては、誰もが不幸になります。
スウェーデンで良く聞く言葉に「lagom/ラゴム」があります。これは「自分にとってちょうどいい」という意味で、平等という意味ではありません。
ラゴムに相当するちょうどいい加減は人によって異なります。例えば限りのある食べ物を数人で分ける場合、お腹が空いている人が多めに食べ、そうでもない人が少なめに食べることがラゴムの考え方です。
元々ラゴムはバイキングの時代に食べ物や飲み物を分け合いながら暮らしていた時の言葉です。スウェーデン人は先祖が皆で食べ物を分け合って生き抜いてきた歴史があるので、自分だけが独り占めする考えはなく、ちょうどいい加減を皆で分け合っていると言えるかもしれません。
日本にも似たような言葉として「足るを知る」があります。ラゴムはこの言葉に近いですが、もっと心地よい加減になるように思います。この加減を知るには自分を良く知る必要があります。簡単なようでとても難しい加減かもしれませんが、自分の加減を知ることで、自分の幸せを見つけることができるようになります。