日本滞在時第2弾のセミナーは、今年4月に世田谷区にオープンしたスウェーデンデザインの「もみの木保育園」でした。内容はスウェーデンの保育事情全般ですが、一般的なお話しとして、パパたちも確実に育児休暇を取って育児を楽しむこと、街中ではパパ友でお茶している姿も良く見かけること、0歳児は保育園に預けることなく主に母親が育児休暇を取って面倒を見て、1歳児になると父親に交代して母親が仕事に戻るケースが多いこと、2歳児以降は90%以上が保育園に通っていることなどです。子どもは国の宝と考えられていて、子どもだけでなく育児をしている人へのサポートも社会全体や企業が積極的に行っています。
スウェーデンでは保育園を「就学前学校」と位置づけ、学校教育で学ぶための基盤を築いてよりよい社会システムが自然と身に付く人間を育てるための基礎教育に力を入れています。男女平等、さまざまな差別のない社会、労働市場における女性の能力の解放など、いわゆる「ダイバーシティー」な社会を築くためには就学前の教育が重要であり、子どもたちの発達を強化して安全で刺激的な環境を与えています。保育園の環境も大切な要因であり、自立心と創造性を高めるための環境作りは科学的根拠を基に整えられています。園長や大人の目線の決めるのではなく、子ども目線を重視し、子どもの意見や行動を見ながら最適な設備や環境が整えられていきます。
セミナーを行った世田谷区は待機児童が多く、育児に関してはかなり問題を抱えているようです。親の働く時間が長いため保育時間が長引き、朝昼晩と食事を保育園で済ませる子どもも増えているとのことでした。悪い方へと向かっているようだけれど、いったいどうすればいいのだろうか、というお話しもありました。問題が山積みになってしまうと何から手をつけていいか分からなくなります。実際に保育園を増やすだけで解決することではなく、社会全体が変わって行かないと解決しないことです。特に父親が育児に参加できる環境がもっと整えば、ずいぶん変わってくるのではないかと感じます。
スウェーデンでは問題が山積みになる前に、ひとつでも問題が起こると皆で解決するよう話し合いが行われるように思います。日本との大きな違いは、誰かが解決してくれると待たずに、自分たちで解決するために動くという姿勢かもしれません。日本でもひとりひとりが解決するために行動を取るようになれば、少しずつでもいい方向に向かって行くのではないかと思っています。
スウェーデンは100年以上に及ぶチャイルドケアの経験があり、国際的にも高い評価を得ています。 スウェーデンならではの保育システムは、科学的根拠を基に考えられたエジュケア(EDUCARE)と呼ばれるもので、教育(Education)と保育(ケア/Care)の双方の大切さを持ち合わせています。
これから力を入れて行きたいプロジェクトのひとつであるSWEDUCAREではスウェーデンのエジュケアのプラットフォームを築き、教育、ケア、環境、インテリア、デザインなど、スウェーデン保育の全てにおける必要なノウハウやサービスを提供します。海外からのニーズに対応、スウェーデンの保育全般をネットワーク化、スウェーデンの保育システムのノウハウを提供、その他の補足サービスを提供のための準備を整えています。ご案内はSWEDUCAREをご覧下さい。