日本の職人技術とスウェーデンデザインのコラボで世界一の商品を作りたい

海外から見ていて、日本の先行きがますます心配になってきています。今回の総選挙の投票率の低さ、大手家電メーカーの失速や新卒の就職が厳しい状況など、政治も経済も先行きが見えづらくなってきました。そんな中でいったい自分に何ができるのか。決して大きなことはできませんが、小さくても何かできることがあるのではないかと思っています。私ができること(やりたいこと)は、日本の優れた職人技術とスウェーデンの優れたデザインとのコラボレーションを実現させることです。

11月に日本に一時帰国した際、たまたま表参道のMoMAを訪ねてトップ画像の陶製の器リボンのしおりを目にしました。今までに見たこともないような存在感のある美しい器としおり、いったいどこが作ったのかなと興味が湧きました。その場ではそれほどの情報は得られませんでしたが、その後たまたま見た「ガイアの夜明け」で衝撃を受けました。まさしく、この器とリボンが出来るまでのストーリーが放映されていたのです。日本の地方には本当に優れた職人技術があるのですが、経済の悪化で業務用の仕事が激減しているため、その技術を生かせる道が閉ざされつつあります。MoMAで見かけた器とリボンは、まさしくそういった技術を別の形で世に送り出していました。セメントプロデュースデザインは日本の優れた職人技術を、デザイナーを通して新しい商品へと生まれ変わらせています。このようなクリエイティブなアイデアは、工場だけでは決して生まれてきません。つまり、今こそデザイナーが力を発揮できるチャンスなのではないかと思わせてくれた器とリボンとの出会いでした。

私は世界中を熟知しているわけではありませんが、日本は世界的に見ても職人技術が優れていると思っています。日本人ほど勤勉で完璧さを追求する人たちを他に知りません。スウェーデン人も器用ですばらしい技術を持っていますが、本気度では日本にはかなわないと思います。世界一というと語弊がありますが、日本の技術は世界でもトップレベルであることは間違いありません。それなのにどうして経済がこんなに低迷しているのか、それはその技術をうまく表現できていないからに他なりません。どうすれば表現できるのか、それは良いデザイナーに出会うこと、そしてそれを売り込む良いセールスマンに出会うことだと思います。スウェーデンのデザイナーは世界的にトップレベルなので、良い職人技術をすばらしい商品に表現してくれることでしょう。その上で良いセールスマンが商品を売ってくれたら、世界中に売り出すことも夢ではありません。つまり、日本の優れた職人技術とスウェーデンの優れたデザインがコラボレーションすれば、世界一すばらしい商品が出来るのではないかと思っています。

スウェーデンには日本の伝統工芸が大好きな人が多いです。陶芸家たちは楽焼きに興味を持ち、テキスタイルデザイナーたちは刺し子や絞りをやりたがります。日本人があまり意識していない日本の伝統工芸や、茶道や禅などの伝統文化は、海外ではかなり高い評価を得ています。そんな優れた技術を、今の時代に合ったものに表現できたらすばらしいのではないでしょうか。機能的で美しいスウェーデンデザインが、日本の職人技術の役に立てればと願ってやみません。

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