クールジャパン「わびさび」

ただいまクールジャパンが盛り上がっていますが、日本の茶道や禅などの伝統文化と、アニメやコスプレなどのサブカルチャーは海外で根強い人気があります。電化製品や車など産業での経済成長を遂げた日本は、今や文化で世界からの注目を集める時代がやってきているようです。独自の文化やライフスタイルを世界に発信する日本は、成熟社会の仲間入りをしているということなのかもしれません。

外国人から見た日本文化といえば、「わびさび」と「禅」は外せません。日本に住んでいたり訪れている外国人のほとんどが、この文化の体験を目的としていると言っても過言ではないでしょう。NHKクールジャパンの「わびさび」番組を見たところ、ここに登場する外国人はイスラエル、アメリカ、オーストラリア、フランス、ロシア、チリ、イギリス、フィリピン出身で、残念ながら北欧人はいません。

一概に外国人といっても、国によって文化も考え方も異なるので、この番組での反応が外国人の全てではありません。特に北欧人はかなり異なる返答をするように思います。北欧人はもっと日本人に感覚が近く、シンプルな暮らしや謙虚な態度、自然の享受に感謝しています。北欧には自然享受権があり、自然の恵みは皆で分つものと考えています。

スウェーデンでは「わびさびスタイル」のインテリアに人気があります。何もかも新品や高級品で揃えるより、昔から使われているものを大切に使い続けたり、自然素材を使ったシンプルでナチュラルなデザインは、どこか人々をホッとさせてくれます。「わびさび」という考えは、北欧人にはしっくりと馴染むようです。

右肩上がりの経済成長が終わった時代になってもまだアメリカを目指すのは、日本の向かう方向が間違っているのではないかと思うのです。資本主義のアメリカのような弱肉強食の競争社会は、実は本来の日本人の気質には馴染まないのではないでしょうか。ゆとり世代などの日本の若者のゆるい感覚は、むしろ北欧人に近く、これからの時代は熱血や忍耐や努力という言葉よりも、楽しく生きていこうというメッセージの方が、人々の共感を得やすいのかもしれません。

人と競争したり押しのけたりするのではなく、共感して一緒に幸せになっていく、北欧のライフスタイルの感覚は、昔の日本にもあったと思います。クールジャパンによって、北欧人と日本人との類似点がますます浮き彫りになっていく気がしています。

 

 

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