クリエイティブ部門でプレゼンするペニラさん
イノベーションを次々と生み出すエレクトロラックス社には、未来の暮らしのデザインを追求しているクリエイティブ部門があります。ストックホルム本社を中心に、北米、南米、イタリア、カイロ、上海、シンガポール、オーストラリアにクリエイティブ部門があります。シンガポールに駐在していたというクリエイティブ部門のペニラ・ヨハンソンさんにお会いし、エレクトロラックス社のデザインのあり方をお聞きしました。
Q「スウェーデン発の企業として、国柄や風土を反映していると思われる点はありますか」
A ペニラ・ヨハンソンさん
北欧の厳しい環境と乏しい資源の中で商品開発をしていくためにもっとも大切なのは、スウェーデンのルーツでもある「クラフトマンシップ/職人の技能」です。また、機能美も北欧デザインとしての大切な要素です。美しいデザイン、機能性、使いやすさ、サスティナビリティ、適正価格、この5つのバランスが取れた民主的な商品であることを目指しています。民主的であることはスウェーデン社会の基本的な考えであり、スウェーデン企業としての国柄や風土を反映していると思われます。世界各地にあるデザインセンターでもこの考えを共有しています。
「民主的」という言葉は、スウェーデンではよく耳にします。「民主的」とは、わかりやすく言うと、人々が自由や平等といった人権を守り、全ての人々が平等な話し合い主となって物事を動かしていくことです。つまり、ひとりのリーダーシップに従うのではなく、皆で意見を出し合い、その中からベストな回答を得ていくことです。この姿勢は、スウェーデンが方針として貫いていることです。
しかしながら、「民主的なデザイン」とは皆で意見を出し合ってデザインを作り上げるということではありません。誰に取っても使いやすいデザインである、ということです。これは、全ての人のためのグッドデザインという、スウェーデンデザインの真髄です。エレクトロラックス社が目指している「民主的/DEMOCRATIC」なデザインとは、形/FORM、品質/QUALITY、適正価格/LOW PRICE、持続性/SUSTAINABILITY、機能性/FUNKTIONという5つのバランスのとれたデザインです。民主的なデザインの商品は、全世界のどのような人々にも受け容れられるユニバーサルデザインです。その姿勢は、エレクトロラックス社の生み出すヒット商品からも見て取れます。