「暮らしを美味しく」するために、エレクトロラックス社が目指すこと

エレクトロラックス社訪問の記事は、今回が最後となります。日経トレンディの記事のためにエレクトロラックス本社を訪れましたが、重要な人々にお会いすることが叶い、いろいろなお話を聞くことができました。インタビュー最後は、ホームケアCEOのオーラ・ニルソン氏です。ニルソン氏はインタビュー当日、日本から帰ってきたばかりとのことでした。エレクトロラックスには日本支社がありますが、当社にとっての日本市場の位置付けについてお聞きしてみました。

Q「製品開発にあたって、日本で消費者調査を頻繁にされていますが、日本市場の位置づけは」

A 日本は世界で最も大きくて重要な、伝統的な掃除機の市場であり、多くの競合他社が存在しています。当社は当初、スティック型のエルゴラピードに特化して販売し、日本でのトップシェアをしばらくキープしていました。日本人は清潔で整理整頓された環境を好み、 商品への要求が高いため、高度な商品の調査に適しています。また、北欧と日本はデザインの好みや自然を愛する気質など、似通った部分があります。日本では、当社の高度な商品の市場が伸びています。そのような市場は当社にとって大変重要で、今後も注目していきたい市場です。

 

Q「いかにしてイノベーションを生むかは、多くの日本企業が目指していることです。エレクトロラックス社としてイノベーションを生むための特別な仕組みはありますか」

A 商品開発において、Taste、Care、Well-being という3つのキーエリアに分け、トップクラスの商品作りを目指しています。Taste/テイストとは、ヘルシーで美味しい料理を家庭で簡単に作れる家電を提供することです。プロの料理人と開発した調理家電の知識は、一般消費者向けの調理家電にも生かすことで、誰もが簡単にプロ並みの料理が作れるようになります。Care/ケアとは、いつも清潔で着心地のよい服を提供することで、より使い勝手のいいランドリーや関連商品を開発しています。Well-being/快適な暮らしとは、掃除の行き届いた心地のよい室内で、幸せで健康な暮らしを提供することです。

 

Q「調理家電などは、プロの料理人に根強いファンがいますが、魅力は何でしょうか」

A プロの料理人の要求は非常に高く、妥協は許されません。彼らは世界でもっとも優れた調理器具を求めています。当社はプロの料理人へ特別にアプローチをしているわけではありませんが、彼らが当社の調理家電を選ぶ理由は、世界で最も優れた調理家電を提供しているからです。もちろん料理人との関係も密で、調理家電に何か問題があればすぐに対処しています。カスタムメイドの調理家電は、個々の料理人が使いやすいように設置できるシステムです。当社の調理家電は、有能な料理人との間に高い実績と評価があります。プロ の料理人と協力して開発した調理家電の技術は、一般家電にも生かしています。

 

Q「米ANOVA/アノバを買収するなど、最新テクノロジーの取り込みにも積極的です。その狙いは何でしょうか」

A アノバからは、当社とは異なるビジネスアプローチを学んでいます。大手メーカーはたくさんの新しい商品を世に出し、それが売れることを願っています。しかしアノバは家庭用真空調理ヒーターをひとつのビジネスモデルととらえ、単に商品を販売するだけでなく、消費者とのつながりを持つことに積極的です。アノバのデバイスはインターネットに接続でき、消費者と直接つながることができます。調理ヒーターは精密に温度管理ができ、誰にでも簡単に使え、消費者はソーシャルメディアを通して調理の様子やレシピを公開することができます。消費者とつながりを持つことは販売の原則ですが、大手メーカーにとって直接に消費者とコンタクトを持つ機会はほとんどありません。消費者と生涯に渡って長い関係を築き、商品に興味を持ってもらうことは将来のビジネスにつながります。アノバのビジネスモデルは、当社にさまざまな方法があることを学ばせてくれます。買収した後も、アノバのやり方をそのまま残すことで、我々も利益が得られると考えています。

 

Q「今後、グローバルで強化していきたい製品ジャンルは何でしょうか」

A ロボテックス、スマートホーム、エコシステム、 エアクリーナー、掃除機、エアコンディショナーなどです。特に、快適なライフスタイルを提供するスマートホームに注目しています。

 

快適なライフスタイルを提供するスマートホームは、ひとりひとりの暮らしに合わせた家電を、ロボテックスなどを用いて未来的な暮らしを実現するものです。家に帰ったら最適の温度になっているエアコンや、簡単にプロ並みの調理ができる調理器具を提供することです。快適な暮らしとは、すなわち「暮らしを美味しく」すること。そんなメッセージの込められたエレクトロラックス社の映像をお送りします。

 

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