北欧デザインのパターン事業「Scandinavian Pattern Collection」の文化交流イベント第4弾として開催する「FIKAを楽しむ北欧デザイナー20人の茶道具」ですが、10月11日からは場所を京都の町家に移しての展示となります。この町家が大変な見ものです。一般公開していない「正庵」は一棟貸しの宿泊施設のため、宿泊しない限り中に入ることはできません。この町家に入れるだけでも、この展示会の価値があるのではないかと思っております。
京都市北部の西陣に位置する「正庵」は「京都市景観重要建造物 歴史的風致形成建造物」に指定されている文化価値の高い町家です。美しい装飾品を取り揃えた美術館のような内装で、昭和初期からつづく数奇を凝らした京町家をたっぷりと堪能していただけます。
格子の玄関戸をあければ土間に飾られた絵画、ミセノマ(町家の通りに面した1階の部屋)のアンティーク家具が出迎えてくれます。天井に彫られた鞍馬天狗が鞍馬山が近いことを実感させるほか、透かし彫りの欄間も美しいものです。
外観からは予想もできないほどの広く、開放感のある中庭を座敷から眺めることができます。一流の庭職人が選び抜かれた庭石、灯篭、蹲(つくばい)、紅葉を使って造りあげた中庭は京の情緒を感じさせ、季節と差し込む光によって表情を変える姿はまさに一期一会の作品です。夜に灯りを点すと趣きが増し、日中とはまた違う京町家ならではの景色をご覧いただけます。
玄関、奥座敷に飾られた日本画は吉田真理子作の「冬瓜」。展示会などにも出展されたこの作品は、繊細な色使いで描かれ、その大きさも相まって思わず見とれてしまうほどの魅力があります。玄関と離れの廊下には竹内義博作の陶器が置かれています。清水の登り窯で焼かれた土の風合いをご鑑賞ください。
中の間の打ち掛けは100年程前の「手描き友禅」。2016年に、生誕300年を迎えた伊藤若冲の世界を表現した日本刺繍が随所に施され、その細やかな技と織り成す色合いは時代を超えて観る者を惹きつけます。
(画像及び文章の出典:京町家の宿「正庵」)
このような素晴らしい施設を借りきっての展示会がどのようなものになるのか、私たちも大変ワクワクしております。
皆さまのご来場を心からお待ちしております。
尚、今回の展示会入場に際しましては、500円の入場料が必要となります。