北欧デザイン、受難の時代

R.O.O.M.という30年の歴史を持つインテリアショップが倒産しました。

実は、倒産はこれが初めてではありません。

10年前に倒産の危機となり、2009年に再生され、

新しいオーナーとともに復活しました。

その時のことは今でも覚えています。

西ストックホルムにあった大規模の店舗をたたみ、

市内のPUBというデパート内に新しく店舗をオープンしました。

その後、店舗は郊外のショッピングセンターに移り、

ストックホルム市内のセーデルマルムのショッピングモールSkrapan

郊外の大型ショッピングモールMall of Scandinaviaにも店舗を構え

それなりに展開していました。

ところがです。

今月の11日にR.O.O.M.倒産というニュースが入ってきました。

最近は、北欧インテリアのオンラインショップが増え

R.O.O.M.の実店舗での収益に、長い間悩んできたそうです。

とはいえ、オンラインショップを運営する資金も知識もなく

赤字を積み重ねてしまったようです。

R.O.O.M.にはロンドン発のHabitatの商品もあり

それなりに魅力的な家具やインテリア雑貨を揃えていました。

しかしながら、人々の趣向が個性化し

オンラインショップでショッピングする人が増え

実店舗の運営が難しくなりました。

実店舗はよほどの個性がないと

生き残っていけない時代になってきたようです。

R.O.O.M.は現在、他企業とのコラボレーションを模索していますが

R.O.O.M.のウェブサイトはそのままで、倒産の様子はわかりません。

7月15日から始まった倒産セールは80%割引にまでなり

あっという間に店舗は空っぽになりました。

ところで、8月にはストックホルムデザインウィークが開催されます。

中でも注目はインテリアフェアFormexですが

前回より海外のデザイナーを招待するようになりました。

数年前の「北欧」をテーマに自国にフォーカスしていた時代は終わり

海外に新しさやトレンドを求めているようです。

前回はロンドンの伝説的デザイナー、

ザンドラ・ローデスがゲスト・インフルエンサーとしてテーマを彩りました。

そして今回は、TIME誌の「世界で最も影響力のある25人」にも選ばれた

パリに拠点を置くトレンド予測の第一人者

リドヴィッチ・エデルコート/Lidewij Edelkoort氏がゲスト・クリエイターです。

また、7月に開催予定だった

ストックホルムファッションウィークが中止になりました。

ファッションショーには膨大な費用がかかるわりに

バイヤーやプレスの訪問が減っているようで

中止になる前触れはあったようです。

現在ではインフルエンサーによるSNSでのアップなど

ファッションショーよりデジタルの方が効果が高いことや

持続可能性への関心が高まり

ファッション業界も大きな過渡期を迎えています。

パリやミラノのような大きなところはさておき

ストックホルムのような小規模なファッション界は

厳しい時代に突入しています。

北欧デザインも厳しい時代になってきました。

今までと同じことをやっていては衰退の道を辿るのみです。

古い価値観を捨て、新しい時代に合い、人々が求めているものに

真剣に立ち向かっていかなければならない時が来ているようです。

とはいえ、海外の真似にならず

北欧らしさや北欧のいいところを残していってもらいたいものです。

北欧の何がいいところなのか

それはむしろ、北欧以外の人の方がわかるかもしれません。

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