1月と8月にストックホルムメッサで開催される
北欧最大級のインテリアフェアFORMEXでは
北欧デザイン賞「Formidable」を発表しています。
毎年8月には12点の作品がノミネートされ
翌年の1月には、その中から最優秀デザイン賞と
一般投票によるトップデザイン賞が発表されます。
「Formidable」では、以下の項目が審査対象になります。
・新作であること
・新しいアイデアが潜んでいること
・素材や工程も含めて全体的に興味の持てる作品であること
・パッケージを含め、時代にマッチしていること
「北欧らしさ」よりも世界共通の課題が審査対象になります。
個性的であること、環境に優しいこと、持続可能であることは
これからの時代のデザインに求められています。
そう考えますと、ここで北欧らしいデザインを見つけるのは難しいかと思いましたが
やはりそこは北欧最大のインテリアフェア
結局は北欧らしいデザインがノミネートされます。
今回は、昨年の8月にノミネートされた作品の中から
最優秀デザイン賞と一般投票によるトップデザイン賞が発表されました。
Formidable最優秀デザイン賞に選ばれたのは
ステンレス製のサウナ用バケツです。
デザイナーはフィンランドが誇るハッリ・コスキネン。
シンプルでありながら、機能的で美しいプロポーションが評価されました。
ステンレスと白樺の木の柄という組み合わせも洗練されています。
日本ではサウナにはそれほど馴染みがないですが
北欧では日本人がお風呂に入るようにサウナに入ります。
特にフィンランドでは、各家庭にサウナがあるようです。
サウナ用バケツというのは、ちょっとピンと来なかったのが正直な感想です。
さすがに北欧ならではのモノが選ばれたと思いましたが
このバケツを作ったメーカーのブースに行ってみて
サウナに対する印象が大きく変わりました。
メーカーはTammer Brandsという、生活雑貨を扱うフィンランド企業です。
Formexでも目立つ場所に受賞作品がディスプレイされていました。
ブースにはサウナグッズがあれこれと置かれていました。
サウナまわりにこんなにモノがあるのかと驚いたほどです。
サウナでは、熱くなった石に時折水をかけますが
この水に入れるアロマエッセンスがありました。
水をかけるたびに、サウナ小屋にアロマの香りが漂うそうです。
なんだか想像しただけで、爽やかな気持ちになりました。
今すぐサウナに入りたい、と思ったほどです。
このバケツは、Tammer Brandsが扱うRentoというサウナブランドのものです。
フィンランドのサウナを深く理解し
あらゆる感覚に対応する、革新的なサウナグッズを提供しています。
人々が自然な方法でリラックスし、調和を感じ
サウナを通して人生を楽しめるよう、サポートします。
というブランドコンセプトがあります。
日本人がお風呂に入ってリラックスするのと同様に
フィンランドではサウナに入ってリラックスします。
そのためのさまざまなグッズを取り揃えています。
サウナまわりの洗練された北欧デザインについては
ぜひサイトをご覧になってみて下さい。
さて、一般投票によるトップデザイン賞は、革製のスニーカーでした。
この革製のスニーカーは、実に現代のトレンドを反映しています。
スウェーデンのやや北部にあるベステルボッテンという街にある
Skråmträskという1989年創業のメーカーが作っています。
耐久性のある長持ちする革製の靴を、お客様のニーズに合わせ
職人技がていねいに手作りしています。
植物タンニンなめしの革は、時が経つにつれてその美しさが増していきます。
アウトソールは、消耗してきたら交換ができます。
今の時代に最も求められているサステイナブルな靴なのです。
このスニーカーは、独自のスタイルを持つ古典的なモデルで
北欧の伝統工芸とアメリカのバスケットボールとの出会いとして評価されました。
私の一押しであった、ごみ収集車の木のおもちゃや
ヘチマから作られた食器洗い用スポンジは選ばれませんでした。
ちなみに、昨年の8月にノミネートされたデザインについては
北欧デザイン界が目指す先が見えてきたの記事をご覧下さい。
受賞作品の見た目はちょっと地味ですが
北欧デザイン賞に選ばれた理由を読んだり、その作品の背景を調べると
その作品の魅力に少しずつ惹かれていくようです。