前回は、ビジネスパートナーであるアンドフィーカの
今泉幸子さんと出会ったところで話しが終わりました。
今回はその続きになりますが、
実は彼女と出会った場面は訳ありでした。
私はスウェーデンのデザインブランドを
日本の輸入業者アルコデザインに紹介していて
brokiga/ブロキガというブランドを扱い始めたところでした。
ブロキガは元々は絵本で、スウェーデンの著名なイラストレーターである
スティーナ・ヴィルセンがキャラクターを描き
学校の先生である母親のカーリンがテキストを書きました。
小さな子どもたちに、お絵かきや算数や読書を楽しく学ばせるため
子どもたちの関心や要望を刺激するように工夫された絵本です。
ブロキガは、その絵本のキャラクターを使った
プロダクトブランドの展開をしていて
スティーナの姉であるアンナ・ヘーリングがプロダクトデザインを担当していました。
しかしながら、自分たちでプロダクトを展開するのはなかなか大変です。
初めにテキスタイルを作っていた工場を変える必要がでてきました。
新しいテキスタイル工場を見つけたのですが
品質がまちまちで、商品として展開するレベルにありません。
商品の核となるテキスタイルの品質がなかなか安定しないのです。
アルコデザインはすでに日本でブロキガの販売を始め、
次の商品が届くのを心待ちにしていましたので
ブロキガ側も、安定した商品を供給するために奮闘していました。
そんなある日、ブロキガが急に商品展開をやめると言ってきました。
寝耳に水といいますか、これまで一生懸命にプロモーションしてきたし
あれだけ商品化に奮闘していたのを見ていたので
いったいどうしてしまったのかと驚きました。
スウェーデンのライセンス企業であるプラスライセンスにブランドを提供し
ライセンスとしてブロキガを商品化していきたいというのです。
急展開に憤慨しているアルコデザインと私とで
ストックホルムのプラスライセンス本社に行くと
そこにはブロキガの姉妹アンナとスティーナと、プラスライセンスの社長がいました。
その時の光景は、今でも目に焼き付いています。
話しはいきなり本題に入りました。
プラスライセンスは日本支社を持ち、そこでブロキガも商品化するというのです。
ブロキガは自身での商品展開に行き詰まっていて、その案にすでに同意していました。
確かに、お金ばかりかかって先の見えない独自での商品開発よりも
ライセンス契約をして全てをメーカーに任せる方がどれだけ楽か、
その気持ちもよくわかりますが、私たちの今までの作業はどうなるのでしょうか。
ビジネスの世界は非常です。今までの作業など関係ありません。
もう決まってしまったということで納得するしかありません。
肩を落としてプラスライセンスのオフィスを後にしたことをよく覚えています。
その時のプラスライセンスの日本支社長を任されたのが今泉幸子さんでした。
つまり、私たちは当初は敵対関係として出会ったのでした。
私はブロキガにはとっても思い入れがありました。
とにかくキャラクターが大好きでした。
ブロキガとは「まだら、雑多、マルチカラー」という意味があります。
まだらのキャラクターたちはただカワイイだけでなく、
ずるがしこい子、いたずらっ子、ハッピーな子、おこりん坊、すねっ子など、
子どもたちの持つ異なる性格やさまざまな感情をその姿や表情で表現しています。
どの子どもたちも決して同じではなく、みんながオンリーワンなのです。
そのころ、スウェーデン保育のコンセプトを日本に紹介する仕事もしていて
このブロキガをスウェーデン保育のメインキャラクターにしたい
という思いも抱いていました。
そんないろいろな構想(妄想?)が全て水の泡と消えてしまったのです。
ブロキガにとっては、ライセンス契約はいい選択だったんだろうと思います。
これから商品展開を広げていくところで新しい工場を探さなければならなくなり
その品質がなかなか安定しなくて、また別のところを探さなければならなくなり…
と模索していた姿を見ていたので、この決定に対して文句の言いようもありません。
そんな形で出会った今泉さんですが、
この後どのようにしてビジネスパートナーとなっていくかは
また次回(SPC秘話Vor.3)のお話しとさせていただきます。