今の時代が求める未来志向オフィスとは、ストックホルムファニチャーフェア2020

新型コロナウィルスの影響で、リモートワークやテレワークが急激に進んでいます。

そこで、2月のファニチャーフェアで提案された未来志向のオフィスについて

現状を考えながら書きつづってみようと思います。

この提案はコロナが来る前のものですが

コロナ時代になってもそのまま通用する提案でした。

 

書類からソフトウェアまですべてがクラウドにある現代

今までのようなオフィスや職場が必要なのかという話しは

コロナになる前から耳にしています。

今の時代、私たちはどこにいても仕事ができるようになりました。

ネット環境さえ整えば、パソコンひとつで仕事ができます。

では、これからのオフィスにはどのようなニーズがあるのでしょうか。

そんな時代の「未来志向オフィス」について

2月に開催されたストックホルムファニチャーフェアで

展示されたアイデアをご紹介します。

 

「オフィスを持ち歩ければ、どこにも出かける必要はありません」

をスローガンに、100年以上のオフィスデザインを手がけてきた

ストックホルムを拠点とするアーキテクトオフィスTengbomが

「ヒトを中心とした新時代オフィス」を提案しました。

 

今は、世界中のどこにいても、クラウドベースのおかげで

必要な書類にいつでもアクセスすることができます。

オフィスに行く意味があるとすれば、それは人々を惹きつける何かが必要です。

そこで提案されたのが「ヒトが中心となるワークスペース」です。

人々の本当のニーズだけにフォーカスし、

人々が幸せを感じながら仕事ができるワークスペースの提案です。

展示会場でみた「ヒトを中心とした新時代オフィス」は、ただの長テーブルでした。

いえ、はっきり言えば、テーブルにも加工されていない長い木材が置かれ

そのまわりにスツールがいくつかあるだけで、

ファニチャーフェアの展示として質素すぎるほどです。

囲いで覆われた天井からは、時おり雲のような蒸気が出てきます。

むき出しの木材のテーブルにはさまざまな文章が書かれています。

「天井から雲(クラウド)が漂うこの長いテーブルが、未来のオフィスの定義です」

「雲(クラウド)が人々を結びつける役割を果たしています」

 

蒸気をクラウドに見立てて、人々とのつながりを表現したようです。

シンプルにお金をかけず、うまく展示したなと思いましたが

これだけでは何がいいたいのかよく分かりません。

ファニチャーフェアの展示といえば

お金をかけた素晴らしいレイアウトが見ものなだけに

それを期待した側としては拍子抜けです。

ところが、実際に展示で最も重要なものは別にありました。

それはさまざまなクリエイターにインタビューした

未来のワークスペースについての映像です。

そのインタビュー内容がとても充実していたのです。

以下の3つのコンセプトに分かれたインタビューを始終流していました。

ヒト中心の世界
ヒト中心のテクノロジー
ヒト中心の空間

何はともあれ「ヒトが中心」なのです。

「ヒト中心の世界」

新しいデジタルの登場は、絶えず私たちの働き方を変えていきます。

ワークスペースは、ひとりひとりに合わせる形になってきています。

設計のよくないオフィスは、人々に悪影響を与えます。

テクノロジーに囲まれすぎると、人々はよりストレスを感じます。

人々が幸せを感じながら仕事ができる環境を作ることは重要な課題です。

木材などの自然素材や、植物などの自然が身近にあることは、

人々によい効果をもたらします。

オフィスに行くことでよりリフレッシュできたり

より幸せを感じられるようになったら、仕事が楽しくなりませんか。

 

「ヒト中心のテクノロジー」

人工知能が進化するように、

新しいテクノロジーが私たちの働き方を変えていきます。

とはいえ、人が最も重要なことに変わりはありません。

企業は、テクノロジーが新しいビジネスモデルに不可欠であることを確信しています。

仕事に必要なテクノロジーは、生産性と効率性を高めることです。

人々の働き方がますますロボットのようになっていく中

最新テクノロジーは、人々のストレスや燃え尽き症候群など

精神的リスクを回避する助けにもなります。

最新テクノロジーが、人間のような共感、愛、優しさ

といった感情を理解するようになるのは、

そう遠い未来のことではないかもしれません。

われわれのまわりにあるテクノロジーとは

一緒に仕事をする友になれるのではないでしょうか。

 

「ヒト中心の空間」

仕事と雇用の形が急速に変化する時代、

社会全体が新しい形に合わせる必要があります。

社会全体が、余暇と文化を楽しむユートピアになるか

高い失業率と社会的利益の少ないジストピアになるか。

現実とデジタルの両方の世界で、人々の経験が重要になってきます。

建築家の役割は、もはや建物やオフィスがどう見えるかではなく

ニーズやコンテンツやシステムに目を向けることになるでしょう。

人々がオフィスに行かなくてもいい時代

建築家やデザイナーが注目すべき概念や思考は何でしょうか。

よりよいオプションとなるスペースを、どのように設計するべきなのでしょうか。

 

「未来のオフィスとは人々が幸せになる場所」。

アフターコロナ時代に注目されそうなコンセプトが

コロナが来る前に提案されていたことに軽い驚きを覚えます。

むしろ、コロナは単にきっかけだったのかもしれません。

たとえコロナがなくても、時代は今までのようなオフィスを求めなくなっていました。

それが、コロナのおかげで早く気づけたということでしょうか。

今後のオフィスのコンセプトがどのように進展していくのか見逃せません。

 

さて、ここからは私ごとです。

私は個人事業主なので、オフィスをどうするかが課題になります。

自宅で仕事をすることも多いですが、

やはり仕事をする環境を整えた方がいいので

これまでにいくつかのシェアオフィスを利用してきました。

初めてのシェアオフィスはデスクだけの場所で

カメラマンなどのクリエイターとのシェアでした。

シェアの場合はスペースが少ないという問題があり

その次に見つけたのはオフィスホテルです。

小部屋がたくさんあり、その中のひとつを借りました。

毎週金曜日には各部屋を借りている人々が集まるフィーカがあり

それなりに楽しかったですが

ひとりで一部屋はちょっと寂しいものがあり

また別のオフィスを探し求めました。

その後に見つけたのはスタイリストさんのシェアオフィスです。

そこは広めのスペースもあり、かなり長いこと借りていました。

ある日、そのシェアオフィスがリノベーションされることになり

出ていかなければならず、その後はしばらく家で仕事をしていました。

次に見つけたのは、またもやオフィスホテルです。

一部屋をもうひとりとシェアし、今はそれでやっています。

しかし、他のスタッフとの交流が少なく

ネットワークも構築できないので、打開策を検討中していました。

そうこうしているうちにコロナ騒動となり

オフィスに行くこともほとんどなくなり、今はほぼ家で仕事をしています。

 

私が必要としているのは、オフィスそのものよりネットワークです。

世界中にオフィスを持ち、東京にもオフィスがあるという

ネットワークオフィスの会員になろうかとも考えています。

これからのオフィス形態は、今までとは全く変わってきます。

日本でも海外でも好きな場所で仕事ができてネットワークも構築できる、

そのようなネットワークオフィスはますます増えていく予感です。

 

 

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