「やっぱりスウェーデンデザインが好き!」今の時代のよいデザインとは

| 2020-09-01 | 0 Comments

よいデザインについて、あれこれと考えています。

3月にコロナの影響がジワジワと広がり

4月にはロックダウンをする国も増えた4月末に

2002年から続けてきたメルマガ「アイ・ラブ・スウェディッシュデザイン

にちなんで「やっぱりスウェーデンデザインが好き!」と題して

インスタグラムからスウェーデンデザインをほぼ毎日紹介してみました。

 

60回目を過ぎたころから、紹介している好きなデザインが

昔のものばかりであることに気づきました。

「そういえば、最近ワクワクするデザインに出会ってない」

と思うようになり、その理由を探るべく、少しリサーチの時間を持ちました。

(ちなみにトップ画像はゴッケン・ヨブス/Gocken Jobsが
1945年に描いたミッドサマー/Midsommarのファブリックで
インスタで最も人気のあったデザイン)

 

ちょうど北欧インテリアフェアFormexが開催されたこともあり

トレンドであるデザインを見る機会もありました。

また、私のビジネスパートナーである

アンドフィーカの今泉幸子さんが始めた

北欧にゆかりのある人とのトークショーに登場した

ジャーナリストの萩原健太郎さんの話しを聞き

昔のデザインがワクワクする理由がわかった気がしました。

トークショーの様子はYouTubeでご覧いただけます。

「北欧から見た日本、日本から見た北欧 」
ゲスト:萩原健太郎さん

 

昔のデザインがワクワクする理由は

萩原さんの言う「民藝」にあるのではないかと気がつきました。

民藝品とは「一般の民衆が日々の生活に必要とする品」という意味で

美術品に負けない美しさがあり、美は生活の中にあるといいます。

「民藝」とは「民衆的工芸」の略語で

柳宗悦、浜田庄司、河井寛次郎らによってつくられた言葉で

民藝運動は、彼らによって1926年に彼らに提唱された生活文化運動です。

当時の工芸界では、華美な装飾を施した観賞用の作品が主流で

柳たちは名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具を

「民藝(民衆的工芸)」と名付け、美術品に負けない美しさがあると唱え、

美は生活の中にあると語りました。

上記の説明は日本民藝協会を参考にしています。

 

この「民藝運動」は、スウェーデンデザインの動きにもよく似ています。

1900年初めごろのスウェーデンは、

日々の暮らしの実用美が一般に広がりました。

1899年に作家で芸術愛好家であるエレン・ケイ/Ellen Keyが

「日用品をより美しく/Skönhet för alla」というエッセイを書き、

大きな影響力を持つようになりました。

 

1919年には、スウェーデンデザイン史の中心人物

グレゴール・パウルソン/Gregor Paulssonが

「日用品をより美しく/Vackrare vardagsvara」という著書を書き、

この言葉は今でもスウェーデンデザインの礎になっています。

1900年に入るまで、スウェーデンの日用品の製造は

ほとんど全てが手工業であり、1920年代になって

スウェーデンの実用工芸品は「スウェーデンの美/Swedish Grace」として

世界的に知られるようになりました。

 

1930年には、ストックホルム展覧会が開催され

機能主義が飛躍的に発展した年となりました。

世界遺産となった「森の墓地」を手がけたグンナル・アスプルンドら建築家が

それまでとは全く異なる新しい自由な手法を見せ

新旧の交代を象徴する時代となりました。

この展覧会で強い影響を受けたのが

後にスウェーデンを代表する家具デザイナーとなるブルーノ・マットソンです。

 

1955年には南スウェーデンのヘルシンボリで日用品の展覧会H55が開催され

スウェーデンデザインが世界的に認識されるようになりました。

この展覧会で、スティグ・リンドベリのスピーサリブとテルマが注目を浴びました。

ロケットに使われる耐熱の新素材を用い、

キッチンからテーブルへとそのまま並べられる画期的なシリーズです。

1950年代には、テキスタイルのアストリット・サンぺのデザインがヒットし

ダーラナのリスベットとゴッケン・ヨブス姉妹が

現代的なプリント技法に適した花と自然のモチーフを描き、人気を博しました。

こうして、スウェーデンにおける日用品のデザインが花開いたのです。


スティグ・リンドベリのスピーサリブとテルマ

 

ひとつ、日本の「民藝」とスウェーデンの「日用品をより美しく」の違いは

民藝は名も無き職人が作り名前を出さないところ

スウェーデンの美しい日用品はデザイナー名がはっきりと示されています。

デザイナー名を示すことはスティグ・リンドベリが唱えたことで

名前を出すことで作品に責任を持つという考えがありました。

 

ミッドセンチュリー時代のスウェーデンの美しい日用品は

日本の「民藝」と同様に庶民の手の届く価格で買うことができました。

しかし、時を経て大量生産がますます一般的になり

より機能的で安価なものが大量に生産されることで、

当時の日用品は今ではヴィンテージとして高値で取引されています。

今の時代職人も減り、あの時代のように手をかけるものは

値段もかかりすぎ、もう作ることはできません。

それだけ手がかけられていたわけですから

今の日用品に比べて、昔の日用品が

ワクワクする素敵なデザインであるのは、当然といえます。

 

今年の1月に開催されたインテリアフェアFormexで展示された

北欧テーブルセッティング60年の移り変わりを見ると

1960年代から2020年までのデザインの進化が見て取れます。

2000年代からデザインが地味になっていくのが分かります。

 

ちょっと気になっているのは

2000年以降に登場したガラスやテーブルウェアなどの美しいデザインが

今はもう製造されなくなったものが少なくないことです。

2000年以降といえばまだ最近のことですが

すでにヴィンテージ入りしているのです。

似たり寄ったりのどこにでもあるようなものばかりが増え

美しいデザインが作られなくなっているのは事実です。

例えばオレフォスの下記のシリーズは

2000年以降に登場しましたが、もう作られていません。


2000年に発売されたインゲヤード・ローマンのSlowfox


2005年に発売されたレーナ・ベリストレムのMingle

 

最近新しく出てきているデザインは

実はパッと見が分かりづらいものが増えているように思います。

なぜかというと、見た目よりも

プロセスを重視したデザインが増えているからです。

今の時代に求められているのは

サステイナブルであること、環境にやさしいデザインであること

環境を破壊しない作り方であることです。

それは、プロセスの美しさを物語っています。

プロセスにストーリーがあり

それを知ることで、デザインが美しく見えてきます。

 

このような現状を踏まえ

インスタグラム 「やっぱりスウェーデンデザインが好き!」を

また続けていこうと思っています。

今求められているデザインも含めて

よいと思うデザインをこれからも紹介していきたいと思います。

当インスタグラムは、スウェーデン人もわりと見ているようですので

「やっぱりスウェーデンデザインが好き/I love Swedish Design」

というタイトルにしたいと思います。

インスタグラムのアップをお楽しみに。

 

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Category: 北欧デザイン&インテリア

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