まるでお化け屋敷に入るようなワクワクする入り口が印象的です。
ストックホルムの北方博物館/Nordiska museetで
学校の新年度始まった時期に合わせて、
子ども向けの新しい展示が始まりました。
Tidsvalvetとは、タイムマシーンのような意味です。
時空を超えて、昔の時代を体験できる展示で、
子どもに焦点を当て、1870年から現代までの150年の暮らしを体感します。
昔の子どもたちはいったいどんな暮らしをしていたのでしょうか。
どんな食事をしていたのか、どんな服を着ていたのか
実際に当時のメニューを見たり、服を見て実体験ができます。
印象的だったのは、1940年代の車内の様子で
第二次大戦中にスウェーデンに避難してきた子どもたちの話しです。
ユダヤ人の子ども、フィンランド人の子ども、ノルウェー人の子どもが
戦火から逃れるために、列車でスウェーデンにやってきました。
親と離れ、子どもたちだけが故郷を離れてスウェーデンに避難してきたのです。
その後、親元に戻ることはなく、生き別れになった子どもたちも多かったようです。
当時どのような状況だったのか、何を持って行ったのか
実際に荷造りを手伝ったり、手紙の文字を組み立てるなど
当時の状況に関わることで、子どもの気持ちに寄り添っていきます。
子どもの声で説明されるので、切ない気持ちになります。
ダイニングエリアでは、時代ごとの子どもたちの食事についての解説があります。
実際に何を食べていたか三択で選び、
食べている映像も映し出されるので実感がわきます。
別のブースでは、時代ごとのスウェーデンの子どもたちの状況を映像で説明しています。
昔の孤児は、オークションで売られていたそうで
安く買い叩かれ、労働力として使われたそうです。
今でこそ、無償で平等に高等教育が受けられる高福祉国になりましたが
ほんの100年少し前は、欧州の貧困国として厳しい時代を生きてきたことが分かります。
もちろん、楽しい体験もあります。
ライブラリではおばけの話しがあったり
1980年代の子ども部屋では、当時の音楽が聴けたりします。
Tidsvalvetは小学校3年生から6年生の子どもたちが
150年の歴史を体感するための展示ですが、大人も充分に楽しめそうです。
体感するためには、数時間かけてゆっくりと見るのがいいようです。
ここでは携帯電話は忘れて、昔のスウェーデンがどんな暮らしだったか
五感を使って異世界をじっくりと体感したいですね。
また、未来の子どもたちのために、
現代の子どもたちの実際の生活状況の記録が
保存される仕組みもあるそうです。
50年後には、今の暮らしはどのように映るのでしょうね。