3年ぶりの開催、北欧最大級のデザイン見本市「ストックホルム ファニチャーフェア2023」の見どころ

コロナ禍でまる2年開催ができなかった

北欧最大級のデザイン見本市「ストックホルム ファニチャーフェア」

今年はフル稼働で2月7日から11日まで

ストックホルムメッサにて開催されます。

ほぼ毎日のようにファニチャーフェアから案内メールが届き

かなり盛りだくさんな内容であることが伺えます。

その中でも、気になる展示をピックアップしてみましょう。

真剣にSDGsに取り組んでいる展示もいくつかあります。

記事は長めなので、ごゆっくりご覧下さい。

ゲスト オブ オーナー FRONT

国際的に活躍するデザイナーをゲストに

エントランスを飾る今年のメインデザイナーは

スウェーデンのデザインデュオ「フロント/FRONT」で

スウェーデンデザイナーが選ばれるのは初めてです。

コロナ明けの久しぶりの見本市とあって

スウェーデンデザイナーがフォーカスされているようです。

2004年に結成されたフロント。実は私は何度か取材をしています。

いちばん初めに見つけたのは、2004年のファニチャーフェアの

新人デザイナーの登竜門「グリーンハウス」に出展していた時。

その後は2007年のファニチャーフェア会場で。

当初は4人だったのが3人になり、今は2人になりました。

いつも変わったデザインを手がけていて目を引くのですが

最近は、コケをモチーフにした

自然界からインスピレーションを得た作品を作り出しています。

とにかく想像を超えるデザインを見せてくれるので

今回のエントランスもどのような仕掛けになるのか楽しみです。

デザインバーUnderbar,  Jonas Bohlin & Christian Ingridsdotter

80-90年代にスウェーデンデザイン界に物議を醸し出し

私が毎年のようにファニチャーフェアに通い出した2000年代に

いくつものブランドに作品を発表していたヨナスは

2010年以降はあまり会場で見かけなくなりました。

そんな、ちょっと忘れかけていたレジェンドデザイナー、

ヨナス・ボリーンがデザイン界に戻ってきました。

ファッションとインテリア業界で活躍中の

クリスティン・イングリドドッテルとともに

ファニチャーフェアのメインコーナーを手がけます。

ヨナスは2002年に私が初めて取材した大物デザイナーであり

ご自宅にも訪れたことのある、とても思い入れの深い人です。

昨年は街中で偶然見かけて声をかけ

パリにいるカメラマンの息子と

日本に行きたいと思っている語っていました。

ヨナスが制作した長持ちするスウェーデン製の家具は

いくつもの有名なレストランに採用されています。

将来のデザイン界について、ヨナスはこのように警告しています。

「スウェーデンの家具デザインと製造業は、

スウェーデンの伝統、文化、輸出にとって重要な分野であり

私たち建築家、生産者、消費者らが

この分野の将来の課題を真剣に考えなければ

デザインは中国のコピーと金儲けに取って代わられるだろう」

このファニチャーフェアが、私たちがスウェーデンデザインについて

真剣に考えるきっかけになるといいですね。

Green House 新人デザイナーの登竜門

有望な若手デザイナーのための国際的なプラットフォームとして、

明日のスターの出発点の場として、将来有望な作品を楽しめる会場です。

18カ国から合計 32 人のデザイナーと30 のデザイン学校が参加します。

今回のグリーンハウスのキャッチコピーが

「宇宙研究とスニーカー文化からインスパイアされた家具」

という、ちょっと意味不明なフレーズなので

会場でその答えを見つけたいと思います。

今回の出展者は、レベルの高い遊び心と創造性を持ち合わせているそうです。

Now or Never – 1 kg CO2e 素材の環境への影響

スウェーデンが取り組むSDGs関連の展示です。

ヨーロッパでは毎年3千万トンの家具が捨てられ、

スウェーデンでは17万トンが捨てられています。

捨てられた家具のうち、どれだけがリサイクルされているのか、

ヨーロッパで購入できるリサイクル素材は何なのか、

今後どのような新素材が登場するのか、

家具は気候にどのような影響を与えるのか、

さまざまな素材が環境にどのように影響するのか、

私たちの選択が、環境にどのような影響をもたらすかなど

サステナブルが得意なデザイナーたちが集結して

さまざまな解決策を提案しています。

ここに参加するForm Us With Love は

2006年に南スウェーデン男子3人が設立し、

今はスウェーデンきっての

サステナブルなデザイン集団に成長しました。

設立当時から追っかけをしていた私は

彼らの成長を目を細めて見ていましたが

いつの間にか雲の上の人になってしまいました。

ちなみにストックホルム市内の彼らのスタジオでは、

サムスン北欧支社と取り組んだ

未来のテレビ技術と視聴行動に適応した

プラットフォームのコンセプトを公開します。

この展示も気になるので、スタジオに行ってみたいと思います。

Closing the Loop プラスチック廃棄物の再利用

スウェーデンが取り組むSDGs関連の展示です。

Solaris Community によるゲスト展示では

毎年海に流出する 1,100 万トンのプラスチックに焦点を当て

水、塩分、紫外線によって損傷を受けた

海洋プラスチック廃棄物を貴重な素材に蘇らせて、

アート、家具、照明、ファッションに

アップサイクリングした作品を展示します。

さまざまな素材を提案する

Materialbiblioteket/素材ライブラリーと

Solaris Community が協力しています。

Materialbiblioteketには、日本製のオーガニック素材を

紹介してみたいと考えているので

お近づきになれるチャンスがあればいいなと思っています。

The Nude Edition リサイクル素材の展示エリア

スウェーデンが取り組むSDGs関連の展示です。

15 平方メートルというサイズの

リサイクル素材で作られた新しい展示エリアです。

よりサステナブルな展示方法への第一歩であり、

出展者はサステナブルに特化したブランドなので

今どきのスウェーデンのSDGs事情がわかります。

この他にも最近の課題をテーマにしたデザイントークや、

各ホールごとのそれぞれのブランドの出展があります。

可能であれば、数日かけて通うことで

展示の面白さもわかってきます。

私は数回行ってみたいと思っていますので

行った後にまた報告しますね。

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