年明けから3月くらいまで盛り上がる、スウェーデンの伝統菓子「セムラ/semla」。
漫画ワンピースに出てくるビッグ・マムの大好物として
セムラというお菓子が登場したり、
テレビで紹介されたり、
日本のカフェでもセムラを提供するところがあり
日本でも少しずつ認知度を上げています。
セムラは、キリストの復活を祝うイースターにちなんだ伝統的なお菓子です。
中世のころ、イースターの46日前から数えられる四句節の
断食前の最後のデザートとして食べられていました。
たっぷりの生クリームとアーモンドペーストが入ったお菓子で
断食が始まる前の火曜日(Fettisdag/ふとっちょ火曜日)に
このカロリーの高いお菓子を食べる習慣がありました。
今では、この火曜日をセムラの日と呼び、
1年のうちもっともセムラが消費される日となりました。
本来はこの日からセムラが解禁になったはずですが、
最近では年明け(早いところではクリスマス明け)からベーカリーに並ぶようになり
2月いっぱいでシーズンが終わるベーカリーも増えています。
このところのセムラ熱にはすごい盛り上がりがあります。
年明けから、競うように街中のベーカリーがこだわりのセムラを店頭に並べ
snsでその評判が広がり、人気店では長い列ができることもあります。
メディアでは、どこのセムラが美味しいかを食べ歩いた記事を載せたり
点数をつけて争うようなこともしています。
低い点数をつけられたセムラが売り上げにも影響するので
評価をするのをやめてほしいという投書もあったようです。
最近のセムラはどこも質があがっていて
ベーカリーによる、それほど大きな味の違いはないので
営業妨害になるほど白熱するのもやりすぎですね。
そのあおりを受けてか、お値段が年々上がっています。
私が覚えているのは、ひとつ25sek/約330円くらいからですが
今年はひとつ55sek/約650円くらいになりました。
さすがに50sekを超えると、そうそう食べられなくなります。
実際にひとつ丸ごとをひとりで食べるには量が多いので
ひとつを半分に分けて食べることが多いです。
昨年は、チョコレート味やリコリス味などの
変わりセムラも登場しましたが、
今年は伝統的なセムラが主流になったようです。
過去も含めて、今まで私が気になったセムラを紹介しましょう。
Café & Bageri Pascal
カフェ&ベーカリー パスカル
家から歩いて行ける距離にあることもあり
私のいちおしでございます。
セムラだけでなく、他のペストリーも工夫があってとっても美味しいです。
ちょっとお値段が高いのが気になりますが
美味しいからよしとしましょう。
ここのセムラのお気に入りは、
香ばしいローストアーモンドがたっぷり入ったペーストです。
以前のセムラはローストされていないアーモンドのペーストが主流でしたが
このところ、ローストされたアーモンドが増えてきて
香ばしくて味の濃いアーモンドペーストが流行っているようです。
もう2年前になりますが、パスカルではコーヒーセムラやデニッシュセムラなど
変わり種も出していました。
コーヒーセムラは甘すぎて食べきれないほどだったので
昨年からは伝統的なセムラに戻ったようです。
Vete-Katten
ヴェーテキャッテン
1928年創業の、ストックホルムにある老舗カフェのセムラです。
私がスウェーデンに来て初めて行って感動したカフェであり
今でもシナモンロールなどの伝統的なパンは、ここに来て食べてます。
セムラも、ものすごいこだわりがあるわけではないですが
変わらない伝統的な味を保っていて、安心する味わいです。
Tössebageriet
トッセベーカリー
ベスト・セムラの常連です。
セムラといえばトッセというほどの地位を築いています。
ただし、最近の白熱したセムラ競争にはあまり顔を出していないかもしれません。
クレープで包まれたラップセムラを発表するなど工夫をしていますが
やはり伝統的な本来のセムラがいちばん美味しいですね。
Lillebrors Bageri
リレブロース ベーカリー
ここもベスト・セムラの常連で、いつもメディアを賑わせています。
家からちょっと遠いので、あまり行かないのですが、気になるセムラです。
ここも香ばしいアーモンドたっぷりのペーストが入っています。
下の写真は2021年のセムラで、お値段は46sekでした。
ちなみに今年は53sekです。
手書きのスウェーデン語の意味は以下の通りです。
スペイン産のアーモンドで作られたペーストとバニラクリームのトッピング。
塩味のローストしたアーモンドをカットしてトッピング。
生クリームは、フェアトレードでオーガニックのスウェーデンWapnö産。
K-märkt
Kメルクト
2014-2019年まで、ノーベル賞デザートを担当した
パテシィエDaniel Roosのセムラです。
ハミ出るようにアーモンドが丸ごと入っていて目を惹きます。
私がこのセムラを見つけたのは、地下鉄Skanstull駅近くにある
ショッピングセンターRingen内のTeartenというフードコートです。
ここのフードコート、スウェーデン屈指の有名シェフが一同に介した
B級グルメ、ファーストフードのフードコートなんです。
ノーベル賞パティシエDaniel Roos、
ミシュランシェフでノーベル賞ディナーシェフも務めたSaya Isakssonのタコス、
ミシュランシェフAdam Albinのラーメンなどが楽しめます。
ここからは、一般的なセムラです。
強いこだわりはありませんが、昔ながらの安心感のあるセムラたちです。
Åsö Konditori & Bageri
オーセ ベーカリー
セーデルマルムにあるカフェ&ベーカリーです。
Gunnarsons konditori
グンナルソン コンディトリ
ショーウィンドが目を引くカフェ&ベーカリーです。
Urban Deli
ウルバン デリ
持ち帰り食品のデリカテッセンがメインですが、セムラも売ってます。
FIKA文化が発達しているストックホルムでは
それぞれが自分の行きつけのカフェを持っているほどです。
カフェやベーカリーの数もすごく増えていて
どのお店でも、今の時期はセムラを出しているので
その数は計り知れません。
メディアに登場しないセムラも数多く
だからといって美味しくないわけではありません。
このところ、どこのベーカリーのセムラも
質が上がってきましたので
ぜひご自分の舌で味わって、お気に入りを見つけてほしいです。
メディアの評価はあくまでも参考です。
ただし、スーパーマーケットやコンビニなど、
安いセムラはパンが固かったり甘すぎたりするので
美味しいセムラを食べたい方は、各ベーカリーの
手作りセムラをオススメします。
翌日になるとパンが固くなりますので、出来立てのうちにお召し上がり下さい。
最後に、セムラ好きが高じてゲットしたピアスを紹介します。
ポリマークレイで作られた思わず食べたくなりそうな
美味しそうなセムラが耳元を飾ってくれます。