私のお気に入りの美術館のひとつである
ユールゴーデンにある「ヴァルデマーシュッデ/Waldemarsudde」は
アーティストでもあったエウシェン王子(1865 ~ 1947 年)の元居城です。
ストックホルムで最も美しい美術館とも言われ、
ガーデンとともに湖際に立つ美しい建物が人々を魅了しています。
エウシェン王子の邸宅として 1903 ~ 1905 年に建てられた本館と
1913 年に追加されたギャラリーの建物で構成されています。
美術館の1階には、当時のまま保存されている部屋があります。
隣接する庭園には、カール・ミレスなどの彫刻があります。
エウシェン王子は、現国王の3代前のオスカル2世国王の末っ子であり
当時のスウェーデンで、有名な風景画家のひとりでした。
王子はアートコレクターでもあり、アーティストのパトロンでした。
これまで公開されることのなかった
エウシェン王子の貴重なコレクションが
4月22日から来年の3月17日まで開催されています。
そのタイトルは、”Prince’s Well-known and Unknown Treasures”
意訳すると「王子の有名無名の秘宝展」。
今まで美術館の倉庫で眠っていたお宝が一堂に介しています。
エウシェン王子といえば、やはり絵画が有名です。
ストックホルム市庁舎のフレスコ画も描いています。
古い城(1893年)
ストックホルム市庁舎のフレスコ画(1940-1950年)
今回の展示会で初めて知ったのは、椅子やジュエリーまでデザインした
デザイナーでもあったということです。
彼の絵画はけっこう有名で、この美術館にもたくさん飾られています。
椅子やジュエリーのデザインは今回の展示で知りましたが
それらは自分自身が使ったり、
王室の家族のためにデザインしたりというものです。
18世紀のスウェーデンの椅子からインスピレーションを得て
母親や弟夫妻にのために椅子のデザインをしたそうです。
今回の展示で興味深かったのは、王子のスケッチです。
椅子のスケッチからポットやジュエリーのスケッチまで
かなり精巧にスケッチを起こしています。
ロールストランドで制作された
邸宅で使うためのテーブルウェアの試作
彼のコレクションは、当時に人気のあったアールヌーボーを中心に
その後はスウェディッシュグレイス、そしてスウェディッシュモダンもありました。
アールヌーボーのコレクション
アールヌーボーのコレクション
スウェディッシュグレースのコレクション
スウェディッシュモダンのコレクション
ウィルヘルム・コーゲや、スティグ・リンドベリの作品もある
明治時代1900年の日本の茶器(メーカー不明)
「王子の有名無名の秘宝展」は
常設されているエウシェン王子の居間や書斎のある
本館の上階で開催されています。
ギャラリーの方は、時期ごとに展示が変わります。
現在展示されているのは、4名のスウェーデン女性アーティストによる
女性パイオニア「先見の明のある風景」展です。
こちらもなかなか見応えがあります。
季節が良くなると、散策が気持ちのいいユールゴーデン島。
美術館から少し歩くと、ローゼンダールガーデンもあり、
これからの季節は、ぜひ訪れたい場所ですね。