1月に開催されたインテリアフェアFormexで注目された
廃材木で作られた木製携帯カバー「Bark」。
デザインタレント賞を受賞し、
サステナブルデザイン賞にノミネートされた注目の新商品です。
3月に日本のクラファン「マクアケ」に参加したところ
すぐに目標金額に達成し、927%という大成功を納めたようです。
【北欧スウェーデン発】天然木だからこそ感じられる温かみ!高品質な木製スマホケース
木製携帯カバーに使われている廃材木について調べていたころ
ある日系の企業から、スウェーデンの森林についての
リサーチの依頼があったので、森林について深堀りしました。
「Bark」という木製携帯カバーは、
燃やすしか処理方法がない廃材木を再利用しています。
この廃材木は、森林の生態系を保つために、皆伐を行う代わりに
木を間引くことで緩やかに伐採している森林から調達しています。
スウェーデンでは、森がとても身近です。
都会に暮らしていても、森のアクセスがとてもいいのです。
私はスウェーデンの首都ストックホルムに暮らしていますが
森へ行こうと思えば自転車や徒歩で行くことができます。
ほとんどの森の近くには湖があり、
春は森でハイキング、夏は湖で泳ぎ、秋にはベリーやキノコ狩り、
冬には凍った湖でスケートを楽しみます。
そんな森は、国民的な財産であり、再生可能な資源です。
たくさんの生態系が存在している森林は、
人間も動物も植物も、どんな生き物も共存できる形で維持していくことが理想です。
スウェーデンでは、森林を守るための「森林保護法」があり
人々が森林を楽しむための「自然享受権」があります。
自然享受権とは、自然は人が所有するものではなく、
共に分かち合い愛しむものものであるとの考えに基づき
土地の所有者に損害を与えない限り、
すべての人に対して他人の土地への立ち入りや
自然環境の享受を認める権利です。
そのため、ほとんどの森は勝手に入って散策をしたり、
ベリーやキノコを採ったりできるのです。
スウェーデンには森林に関する協会や団体がたくさんありますが、
森林産業側の協会と自然保護側の協会では、
それぞれ自然の保護と木材生産という異なる目標と目的があるため
それぞれの主張も異なっています。
現在のスウェーデンの森林産業が持続可能かというと
それぞれの立場によって、大きな意見の相違があります。
森林産業側では、成長率以下の伐採や伐採後の植林、
自然への一定の配慮などから、
現在の森林管理は持続可能であるとの主張が多い一方で、
自然保護側では、現在の森林産業がさまざまな森林の価値を損ない、
森林の絶滅種に登録されている多くの種の生息地を破壊しているため、
持続可能ではないと主張しています。
初めに紹介した木製携帯カバー「Bark」の廃材木は
森林の生態系を保つために、皆伐を行う代わりに
木を間引くことで緩やかな伐採を目指している森林から調達しています。
ここには、森林産業側の人もいれば自然保護側の人もおり
経済と生態の両方を念頭に置いて森林を維持するよう活動しています。
私たちにとって身近な森には、
たくさんの生態系が存在しています。
人間も動物も植物も、
全ての生物が共存できる形で森林を維持していくことが求められています。
SDGs/アジェンダ2030の環境目標のひとつである
「生きた森/Levande skogar」を目指すことで
持続可能で地球に優しい森林を後世に残していけるのではないでしょうか。