最近、ストックホルムのレストランの質が上がっています。
ちょっとお値段は高めですが、こだわりの美味しいレストランが増えています。
和食からインスピレーションを得たレストラン「Dashi」は
2024年に初めてミシュランひとつ星を獲得し、今注目のレストランのひとつです。
評判のレストラン「Dashi」に、友人と一緒に久しぶりに行ってみました。
2年前のオープン時に行った時は、「Dashi」という店名のわりに
日本の出汁の味とはちょっと違うなと思いましたが、今回はかなり違う印象を持ちました。
お料理とおもてなしが格段に上がり、感動さえ覚えました。
いちばん感動したのは、トップ画像でも使っているおちょこです。
酒ペアリングを頼むと、形の異なる20個くらいあるおちょこの中から
気に入ったのもをひとつ選び、それにお酒を注いでくれるのです。
しかも、このおちょこ、全てがスウェーデン陶芸家の手作りなのだそうです。
スウェーデンと日本との融合に、何より感動を覚える私の心をとらえて離しませんでした。
おちょこのひとつひとつは、スウェーデン作家たちが
日本の陶器からインスピレーションを得てこだわって作ったもので
作家さんたちの名刺も並べてくれました。
私が抹茶茶碗をいくつか持っている作家Rikard Palmquistの作品もありました。
彼の器は、これから出されるお料理でも使われていました。
どれもこれもステキで、どれにしていいかかなり迷いましたが
最後に残ったのがこのふたつ、その中から左のおちょこを選びました。
お気に入りのおちょこを選んで満足しているうちに
お通し感覚で、ひと品目の手作りの「胡麻豆腐」がでてきました。
胡麻をするところから始め、わさびも本物のわさび根をおろしています。
ここに出汁が使われますが、これが日本人に合う味だったのに驚きでした。
以前来た時は、ちょっと日本人の口に合わない味だった記憶がありましたが
今回はひとつの迷いもなく美味しく感じました。
お通しふた品目は「出汁で味付けしたイクラ」です。
この器は、スウェーデン人陶芸家Rikard Palmquistの作品です。
ここでひとつめのペアリングのお酒「るみ子の酒」がでてきて
先ほど選んだおちょこに注いでもらいました。
お通し3品目は「たこ焼きじゃない」というタイトルの、たこ焼きの形をしたものでした。
乗っているのは、右側の写真の初めて見るフルーツの中身のつぶつぶです。
たこ焼きサイズなので、一口でサクッといただきました。
4品目からはオススメメニューになります。
4品目は「お刺身3種」。昆布締め、塩麹、漬けといった、それぞれ味付けの異なるお刺身です。
お酒は剣菱の「瑞穂」で、熱燗で出てきました。熱燗のとっくりも、スウェーデン陶芸家の作品です。
5品目は「茶碗蒸し」。ホワイトアスパラとはまぐりが入ったあっさりした味でした。
ペアリングは「不動」という無濾過生原酒のにごり酒でした。
にごり酒が見えやすいように、ミニグラスに注いでくれました。
6品目は「ハマチのお刺身」。柚子胡椒で味付けされた上品な味です。
7品目は「帆立貝」。麹を絡めた菜の花添えです。
ペアリングは、ワイン樽熟成のMASUIZUMI。
ワイングラスで出てきたので、お酒というよりワイン感覚でいただきました。
8品目は、食事としては最後になる「ほろほろ鳥」。
グリーンアスパラと梅干し添えのさっぱりした味付けと
こげ加減が絶妙な、炭火で焼いた串刺しの焼き鳥とで。
ペアリングは、吟醸古酒の「不動」。選んだおちょこでいただきました。
ここまででかなり満足しましたが、この後さらなる感動が。
ここからデザートになりますが、デザートがなんと3種も出てきました。
まずは、酒粕のふわふわアイスクリーム。
ペアリングは、にごり梅酒です。
にごり酒が大好きな私にとって、2回もにごり酒が出てきたのも感動ものです。
デザート2品目は工夫を凝らしたモンブラン。
このタイミングでまさかのモンブランがいただけるとは。
デザートも見事なペアリングで、フランスのデザートワインMacvin du Jura。
日本酒だけにこだわない柔軟さがステキです。
このモンブランが、ミシュランひとつ星へのポイントにもなっているようです。
締めのデザートは、ミニデザート3種。
フィッシュオイル入りの手作りプラリネチョコレート、
すだちマドレーヌ、ゆずマーマレードのゼリーです。
ここでは、お茶の注文ができたので、甘茶をオーダーしました。
甘味のあるお茶で、初めて飲みました。こんなお茶があるとは知らなかったです。
感動に浸りながら、最後のデザート3種と甘茶を味わいました。
今までこんな感動的なおまかせディナーをいただいたことがあっただろうか。
そう思わせるくらい、思いがけない驚きがありました。
そしてもうひとつ言っておきたいのは、お店の人たちの何気ないおもてなしです。
同席していた友人がお手洗いに立った時、カウンターにいたスタッフが近寄ってきて
ナプキンをたたみ直して椅子の上に置いてくれました。
こんな気遣いは、日本の高級レストランだけかと思っていました。
全てが完璧なおもてなしでした。
出てくるお料理も美味しく、器やおちょこやグラスの演出も素晴らしく。
ひとつ惜しむべきは、茶碗蒸しなどに添えられたスプーンがメタル製だったこと。
普段なら気にも求めませんが、ここまでこだわるなら
漆のスプーンが出てきたら言うことない、と思いました。
メタルのスプーンでいただくと、金属の味が混ざってしまうのです。
お手洗いは、急なハシゴ階段を降りが地下にあります。
地下のインテリアは、日本の新聞などが貼られていて面白かったです。
カウンター席では、いろいろと話を聞かせてくれるのでオススメです。
これだけのお料理をどこで習ったのか聞いたところ
新橋にある割烹、日本酒とおだしの「すずめ」だそうです。
日本に帰ったら行ってみたくなりました。
ミシュランのひとつ星を獲得したのは、私たちが訪問したすぐ後でした。
今は予約が取りづらいレストランとなってしまいましたが
予約の取れる時に、ぜひ感動を味わってみて下さい。