デザインは、みんなのもの

T-Centralen. Många stationer i Stockholms tunnelbana är utsmyckade av vår tids konstnärer. – Many stations on the Stockholm underground have been decorated by modern artists.

心地よい暮らしのためにあるグッドデザイン

北欧には「デザインは、みんなのもの」という発想があり、日常生活のあらゆる場面に美しく機能的なデザインがあります。美しいデザインは一部のトレンディな人のためにあるのではなく、大人、子供、高齢者、ハンディのある人、病人などあらゆる人のためにあり、すべての人々によりよい生活環境を与えるためのものです。

ミッドセンチュリーのころから広まった、グッドデザインは経済効果を高めるという思想は、今のデザイン先進国のスウェーデンの根底にもなっています。そんなスウェーデンでの日々の暮らしの中にあるデザインを紹介するとともに、スウェーデンデザインが日本の暮らしをランクアップするヒントとしてお役に立てればと心から願っております。

1919年にスウェーデンクラフト協会が「Vackrare Vadagsvara」というプロパガンダを発信ました。これは「日常生活品をより美しく」という意味であり、日々の暮らしをより心地よくという思いが込められています。北欧は暗くて寒い冬が長く、家の中で快適な暮らしに焦点を当てています。「Vackrare vadagsvara」は、北欧の人々のライフスタイルともに進化してきた北欧デザインの重要な概念です。

スウェーデンは70年代から高齢者社会を迎え、右上がりの経済社会ではなく、長く続く成熟した社会体制が整いました。よりクオリティ・オブ・ライフな暮らし をするにはどうしたらいいのか、物質社会ではなく、本当に充実した生活とは何なのか、自分にとって心地のいい暮らしとは何なのか、誰もが真剣に自分の生き方に向き合いながら、幸せといわれる社会が出来上がってきたのではないかと思います。高齢者や子供、援助を必要とする人々が、できるだけ自立して暮らせるように、様々なサポートシステムが整っています。日々の暮らしに必要な生活用品も、誰もが使いやすいように機能的で、エレガントなデザインが一般的です。

ユニバーサルデザインという表現はスウェーデンではほとんど聞きませんが、実際に公共施設や市バス、地下鉄などの公共の乗り物は、ハンディのある人や高齢者などにも使いやすいユニバーサルデザインが基本となっています。人々の暮らしを高めてくれるデザイン、それがスウェーデンのデザインです。

「五体不満足」がベストセラーとなった乙武洋匡さんが北欧を訪れた感想を次のように語っています。これは北欧諸国の共生社会を物語っています。
「北欧諸国では特別視されている感覚を抱く場面がなかったんですよね。僕の姿に特に興味を示されることもなく、あくまで「いち日本人観光客」というような扱いなんです。かといって不親切というわけでもなく、サポートをお願いすれば、ごく自然に手伝ってくれる。これが本当の意味での共生社会なんだなと実感しました」

グッドデザインに関しても、付加価値のためのデザインではなく、共生社会においてすべての人が恩恵を請けられる共有価値としてのデザインがスウェーデンデザインです。

幸せと言われる北欧のライフスタイル

北欧は、なぜ世界一幸せと言われるのでしょうか。そんな北欧ライフスタイルの実態を、いろいろな角度から日本に伝えて行きたいと思っています。スウェーデン人は、贅沢をせず質素に暮らしながら、自分たちにとってベストな暮らし方を見つけるのがとても上手です。無理も我慢もせず、自分たちにとっての心地よい加減を知っています。厳しい気候の中に暮らすからこそ、その中で楽しく生きるために努力しています。「幸せ」すなわち自分にとって心地のいい暮らしは、ひとりひとり異なります。日々の何気ない暮らしの中にも、小さな喜びや発見がたくさんあります。そういう感性を常に持ち続けることが大切なのかもしれません。

子育て中の女性に「スウェーデンの母親は世界一恵まれていてうらやましい」と言ったところ、「何もしないでそうなったわけではないのよ。女性たちが努力して築いてきたことなの」ときっぱり言い返されました。問題が発生すれば黙っていずに解決するために努力します。そういった一般の人びとの前向きな姿勢と、それを受け入れようとする国の体制が、世界中から幸せと言われる国が出来上がっていった理由なのだと思います。

仕事も生活も完璧というより程よくこなすライフ・ワーク・バランス、そして仕事と生活が互いに充実していくライフ・ワーク・シナジーな北欧のライフスタイルをお伝えしていきたいと思っています。春と秋の年2回の帰国時には、各地での講演なども積極的に行っていきたいと思っていますので、ご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。

そんなスウェーデンでの日々の暮らしの中にあるデザインを紹介するとともに、スウェーデンデザインが日本の暮らしをランクアップするヒントとしてお役に立てればと心から願っております。

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