スウェーデンスタイル茶道のススメ

私は20年以上に渡り、スウェーデンや北欧のデザインを日本に紹介してきました。

それと同時に、20年以上茶道のお稽古も続けてきました。

このたび、やっと念願叶って茶名の申請をしているところです。

そんな事情もあり、これからは、スウェーデンにて

北欧と日本を融合した茶道をやっていきたいと考えています。

その第一弾として完成したのが、スウェーデン産の点茶盤です。

点茶盤とは、立礼式という椅子席で使うためのテーブルであり、

裏千家11代家元の玄々斎が考案しました。

明治維新で日本が大きく変わる中、当時は茶室で行うのが当たり前だった茶道を

西洋化の流れの中で椅子席を考案し、今でも裏千家の正式な茶会で使われています。

本来の点茶盤は、黒掻合わせ塗の板であり、竹四本柱が板を支えています。

杉木地山道形の腰板と中棚がはめこまれ、下方の足も杉木地です。

点茶盤の横に置かれているテーブルは「喫架」といいます。

そのような本格的な点茶盤と喫架は日本にしか売っておらず、

これをスウェーデンまで輸送すると、送料も高額になります。

そこで、スウェーデンの職人さんに作っていただきたいと考え、

スウェーデンに暮らす日本人の職人さんである、太田由佳里さんに相談しました。

由佳里さんは家具メーカーに勤めるかたわら、

白樺のカゴを作ったり、このような個人的な仕事も時間が許せば引き受けてくれるようです。

スウェーデンで黒掻合わせ塗の板や竹を用意することはできないため

代わりとなる木を使った点茶盤を由佳里さんに制作してもらうことにしました。

実は、ここまで来るのには試行錯誤がありました。

茶道といえば和室で行うもので、畳を持ち込んでお稽古をしていた時期もありました。

とはいえ、お稽古のたびに畳を敷くのも大変な作業だし、

それに加えて、正座でお稽古をするのが苦痛になってきました。

そうなると、テーブルでの茶道を追求するのがいいと思いました。

テーブルでの茶道で正式なものといえば、点茶盤を使った立礼です。

それであれば、点茶盤をスウェーデンで作れたらいいなと思い立ちました。

スウェーデン人の職人さんにお願いすることも考えましたが

茶道のための特殊な家具であり、組み立て式にしたいという思いもあり

そんな事情を説明して分かってもらうのは簡単ではないと思いました。

由佳里さんは、そんな希望を快く引き受けてくれて、

さらに、茶道ならではの侘び寂びを感じることのできる素材を使ってくれました。

それは桜の木です。桜で作られた点茶盤は、時間の経過とともに飴色になるそうです。

北欧といえば白樺、とも思いましたが、本来の点茶盤は黒塗りであり

白樺だとちょっと白すぎるかな、という思いもありました。

由佳里さんは、これまでにもスウェーデンの茶室を手がけたことがあり

お茶室の知識もある方だったので、今回のお願いにはぴったりでした。

点茶盤と喫架の実物を研究しながら図案を考えてくれました。

途中経過の写真も時々送ってくれて、完成がとても楽しみになりました。

そしてついに完成した点茶盤と喫架。椅子はイケアのスツールで間に合わせています。

次に取りかかりたいのは、皆具という、立礼に欠かせないお茶道具の準備です。

建水、蓋おき、水指、柄杓立てがお揃いのデザインで作られた道具で

私は残念ながら持っていないため、寄せ集めの道具を使っています。

(道具のデザインが揃った皆具)
(寄せ集めの道具)

皆具につきましても、スウェーデン在住の陶芸家さんにお願いしたいと考えています。

スウェーデンには、抹茶茶碗を作っている作家さんがたくさんいますので

そのような方にお願いするのもひとつの案ですが

お願いしたいスウェーデン在住の日本人作家さんがいるので、

今度相談してみようと思っています。

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