
2002年からスウェーデンデザインを発信し続けて20年。
その集大成となる書籍が、2024年1月に発売されました。
それは「北欧雑貨図鑑スウェーデン100」です。
20年以上に及び、現地でスウェーデンデザインを観察し続けてきた著者により、
これまで蓄積してきたスウェーデンデザイン情報を
満載に盛り込んだ書籍大集成ともいえる一冊に仕上がりました。
近年では SDGs先進国としてサステナブルなデザインが注目されているスウェーデン。
この図鑑では、名作を生み出した往年のデザイナーから、
100年以上の歴史をもつ老舗ブランド、現代活躍するデザイナーなどを紹介しています。
表紙にもある「日用品をより美しく、みんなのためのスウェーデンデザイン」は、
この図鑑で最も伝えたいかったことです。スウェーデンデザインの真髄について、
改めて知っていただける1冊になれば嬉しく思います。
この書籍の執筆の依頼をネコパブリックさんから受けたのは、2023年の夏でした。
ネコパブリックさんは「北欧テイストの部屋づくり」でお馴染みです。
北欧に特化した雑誌が少なくなっている中、北欧専門誌をずっと続けている出版社です。
「北欧の窓」というテーマで書籍を出す相談をしていたのですが、なかなか進まないでいたところ
その代案としていただいたのが「スウェーデン100」の出版でした。
2018年に刊行された「フィンランド100」に続く1冊ということで
スウェーデン人デザイナーとブランドを合わせて100とすることになりました。
私の主な担当は、デザイナーの紹介記事とコラムを書くことで
下記の4つのグループに分けて、デザイナーとブランドを紹介することとなりました。
- スウェーデンを代表する往年のデザイナー
- スウェーデン発・注目のブランド
- 現代活躍するスウェーデン出身デザイナー
- スウェーデンで活躍する日本人デザイナー
スウェーデンを代表する往年のデザイナーには、
カール・ラーション夫妻、カール・マルムステン、ブルーノ・マットソンなど
現代のスウェーデンデザインの基盤を築いたデザイナーたちを取り上げています。






スウェーデン発・注目のブランドは、日本に進出しているブランドです。
現代活躍するスウェーデン出身デザイナーは、
現役の大御所や若手デザイナーを紹介しています。












そして最後のスウェーデンで活躍する日本人デザイナーは
少人数ながら、日本やスウェーデンで活躍しているデザイナーたちを紹介しています。
コラムでは、日本や国際的にも注目度の高いデザイナー、スティグ・リンドベリ、
みんなのためのデザインとなっていったスウェーデンデザインの歴史と現在、
そして、スウェーデンのインクルーシブデザインについて書いています。
スウェーデンには「デザインは、みんなのもの」という発想があり、
日常生活のあらゆる場面に美しく機能的なデザインがあります。
美しいデザインは一部のトレンディな人のためにあるのではなく、
大人、子供、高齢者、ハンディのある人、病人など、あらゆる人のためにあり、
すべての人々によりよい生活環境を与えるためのものです。
世界一長い美術館と言われるストックホルム地下鉄の駅には
各駅に美しいデザインが施されています。

スウェーデンデザイナーの中でも特に詳しく紹介したかったのは、下記の3デザイナーです。
- FRONT フロント
- Bernadotte & Kylberg ベルナドッテ&キルバーグ
- Marie-Louise Hellgren マリールイス・ヘルグレン
フロントはスウェーデンで最も注目されているデザイナーデュオであり
数々のデザイン賞を受賞しています。
実際にオフィスまで行っていろいろとお話しを聞かせていただきました。


ベルナドッテ&キルバーグは、スウェーデンのフィリップ王子と
クリエイティブダイレクターのデザインデュオであり
品質の高いプロダクトを手掛けています。
最近はオリジナルブランドも発表し、注目度が上がっています。


マリールイス・ヘルグレンはアップサイクルデザイナーのパイオニアであり
サステナブルなデザインがますます注目される中、活躍が期待されています。


トピックとして、スウェーデンで最も著名なトレンドハンターである
ステファン・ニルソンを紹介しています。
今回の書籍に選んでデザイナーについても相談させていただき
アドバイスをいただきました。






「スウェーデンには、ヤコブセンやアアルトのような北欧ビッグネームはいないけれど、
だからこそ新しいデザイナーたちが活躍しやすいんだ」とはステファン・ニルソンの言葉です。
確かに、この国では新しいデザインが生まれやすい環境があります。
最近では環境にやさしいデザインであることが最も重要であり
その上で、デジタルなどの新しい技術も取り入れられています。
AIなど、新しい要素がどんどん増えてくる先の読めない時代は
新しい感覚を持つ若手デザイナーも注目されています。
これからのスウェーデンデザインは、
機能性、美しさ、サステナブルを持ち合わせた上で、
次世代の新たな感覚が加えられ、地球や環境にやさしく、
ますます魅力的な「みんなのためのデザイン」としてさらに進化していくことでしょう。
詳しくは「北欧雑貨図鑑スウェーデン100」をご覧いただければ嬉しいです。
カバーデザインは、スティグ・リンドベリの「ハーバリウム」です。
植物標本を意味する名前の通り、北欧の植物が標本のようにコラージュされています。
美しいカバーの書籍は、手にとって読んでみたいと思わせてくれますね。
カバーを取ると、ブルーとホワイトの「ハーバリウム」が出てきます。
スウェーデンデザインを、どうぞ心ゆくまでお楽しみ下さい。
