2月の1週目は、北欧のデザインイベント、
ストックホルム ファニチャーフェアとデザインウィークが開催されました。
2025年の今回も昨年同様に、ホールAとCのみの小規模な展示となりました。
昨年にも増して、大手ブランドの出展がなく、
デザイナーたちの数も少なくなりました。
大手ブランドは、同時開催のデザインウィークでの出展として
普段は公開していない街中のショールームを一般公開しているので、
ショールーム巡りもおススメです。
今回の会場で目についたのが、パステルカラーの家具です。
真冬の2月に開催されるデザインイベントですが
春を思わせるワクワクさせる色合いは、今の季節には有り難いものです。
今回は特にやさしいパステル系が目につきました。






そしてこのところ毎回のテーマであるサステナブル。
廃棄物を美しいデザインへ、という試みがいくつかありました。
「廃棄物から名作へ」、そして「廃棄物から美しいものへ」。


「廃棄物から美しいものへ」のオフィスチェアは、
下記のパステルカラーのチェアと同じデザインです。
同じデザインでも、素材や色合いでかなり印象が異なります。
環境によい素材で作られたオフィスチェアを選ぶことも、
これからの時代には必要なことかもしれません。

私が最近注目しているのは「ジャパンディ/Japandi」です。
これは、ジャパンとスカンジナビアが融合した言葉で
最近のインテリア業界でもよく聞く言葉となりました。
ジャパンディとは、日本と北欧をミックスしたインテリアスタイルのことで、
欧米を中心に人気が高まっていますが、本質のジャパンディは北欧にあります。
特に、北欧デザイナーと日本ブランドとが融合したデザインは、本物のジャパンディですね。
そんなジャパンディな家具が、今回もいくつか目に止まりました。
ストックホルムデザインウィークのショールームでも展示されていましたが
ジャパンディな家具を得意とするデザイナーがいるのです。
それは、スウェーデンを代表する建築家トリオClaesson Koivisto Runeです。
彼らはこよなく日本を愛していて
コンストファック美術大学の同級生であった彼らの卒業制作は
「ヴィラ・わび」という少人数用の家でした。
その後も日本企業との仕事をたくさんこなし
東京のホテルなども手がけ、数々の作品を残しています。
今回のファニチャーフェアや街中のショールームでも、
いくつかの家具やプロダクトが出展されていました。






彼らは、Jackson Designというヴィンテージショップに飾られていた
スウェーデンのレジェンドデザイナーAstrid Sampeが1950年代にデザインした
藍色のカーペットのインスピレーションを得て、
Aiiro/藍色という展示会を、Jackson Designで開催しています。

この「Aiiro/藍色」の展示で出展した新作は「Koma」という照明です。
Koma は、日本の家庭ブランド「Time & Style」とのコラボレーションで生まれた新しい照明シリーズ。
竹と和紙を使った伝統的な日本製の手作り照明は
日本語のおもちゃの「独楽/こま」にちなんで名付けられています。
これはまさしくジャパンディな照明です。

もうひとつ、ジャパンディな家具をご紹介します。
それは、スウェーデンを代表する家具老舗ブランドGärsnäs/ヤシネスと
日本を代表する建築家/デザイナー、隈研吾氏とのコラボレーションの椅子「HidaHida」です。
日本ではすでに昨年に発表されていますが
スウェーデンではファニチャーフェアでお目見えしました。


1枚の布が身体を包み込むような、やさしくてすわり心地の良さが特徴です。
スウェーデンのリサイクルフェルトを背中の構造材として使⽤し
身体を包み込むやわらかさと、裾のひだの感覚にこだわったそうです。
あえて⽣地は椅子の中に巻き込まず
裾が広がるスカート的なデザインにし、軽やかさを表現しています。
布の端を切りっぱなしにし、スカートのひだのようなデザインから
HidaHidaという名称になったそうです。
このようなパステルカラーは隈研吾氏としては珍しいそうですが
あえてこのカラーに挑んだとのことです。
日本の伝統美と北欧デザインが融合した、まさしくジャパンディな椅子です。
他には、ヨナス・ボリーンなどの著名デザイナーの復刻など
レジェンドデザイナーの復刻を、環境にやさしい素材で作った作品も目につきました。



ヨナス・ボリーンの復刻は、Christine Ingridsdotterが
INGREDSDOTTERというブランドから作り続けています。
ヨナス・ボリーンの家具は、あちこちのレストランで見かけます。
80年代に物理を醸し出したヨナスも今は70歳代です。
オリジナリティーのあるデザイナーは時代を超えて人々に愛されますね。
Claesson Koivisto Runeもヨナス・ボリーンも、
私が2005年に初めて手がけた「北欧スウェーデンの幸せになるデザイン」で
「新世代デザイナーたちの冒険」として紹介しています。
今では廃盤になった書籍ですが、探せば中古が見つかるかもしれません。

あれから20年たち、昨年出版された
「スウェーデン100」でももちろん彼らを紹介しています。
こちらはまだまだ現役ですので、どうぞご覧になってみて下さい。
下記の画像をクリックすると、書籍のサイトに飛びます。

今年は、街中のデザインウィークの情報があまり取れずに、上手にまわれなかったので
来年はデザインウィークのまわり方について、もう少し力を入れてみたいと思います。
寒い季節にワクワクするデザインウィークを、来年も楽しみです。