8月に北欧インテリアフェアFormexが開催され、
9月にはストックホルムデザインウィークがありました。
最近のデザインを見るにあたり、北欧らしさ、スウェーデンらしさ
というものがわかりづらくなってきましたが
その代わり、世界的にサステイナブルが注目され
その国らしさよりも、サステイナブルであることが、より重要になってきました。
どの国から発表されるデザインも似たり寄ったりになっているのは
世界中で同じ情報が共有され、
同じ思いを抱えるようになったことにあると思います。
そんな中、北欧デザインショップを運営するデザイントリエットが、
1930年からの人気のスウェーデンデザインの販売を始めました。
おなじみのデザインがいつ生まれたのか
そしてなぜ長く愛され続けているのかがわかる気がします。
私も久々にワクワクしたので、ご紹介いたします。
1930年代
シェルフNostalgi
1937年にGunnar Bolinがデザインした帽子と靴のシェルフNostalgi。
アルミのスクラップを溶かし、丸い木製の棒でつなぎ合わせて作られています。
この形のシェルフは、ほとんどのスウェーデンの玄関に採用されていて
クラシックなスウェーデン家具として認識されています。
1940年代
ウッドチェアLilla Åland
スウェーデンの家具の神様と呼ばれる
カール・マルムステンがデザインしたクラシックなウッドチェアLilla Åland。
この椅子は、スウェーデンで最も売れている家具の1つです。
マルムステンが、1938年にオーランドにある教会で手工芸コースを開いたときに、
この椅子のアイデアが生まれたそうです。
背もたれが格子になったウッドチェアは定番となり、
多くのスウェーデン家庭に見られるようになりました。
1950年代
脚立LQ
脚立はスウェーデン家庭でよく見かける定番デザインです。
今販売されている脚立は、50 年代のモデルをわずかにアップグレードしていますが
見た目や機能はほとんど変わっていません。
耐久性のある丸みを帯びたスチール製で、
全盛期と同様に完全にスウェーデン製です。
1960年代
照明bumling
これもまた、スウェーデン人家庭でよく見かける
クラシックなデザインの照明Bumling。
シンプルなので、似たようなデザインの照明も見かけますが、
オリジナルはこのデザインです。
テーブルランプ、フロアランプ、ウォールランプなどがあります。
部屋に心地よい雰囲気を作り出す、絶妙な光を醸し出します。
1970年代
バックパックKånken, Fjällräven
日本でも人気のフェルラーベンのバックパックKånken。
このバックパックは、スウェーデンの子どもたちの
背中の健康を改善するために生まれました。
子どもたちの背中が丸くならずに
真っ直ぐに保てるようにとの思いで1978年に作成されました。
日本のようなランドセルのなかったスウェーデンで
全国の保育園や学校に通う生徒たちがこのバックパックを使うようになりました。
現在では、世界中の何百万人もの子どもたちの背中を矯正し、
フェルラーベンの最も人気のある商品の1 つになりました。
1980年代
シェルフシステムMontana
このあたりから、あまり聞いたことのなかったデザインがでてきました。
1982年に設立されたモンタナは、
キューブ型のシェルフを組み合わせるシステム家具です。
システム家具というとストリングが有名ですが
こんなモダンなシステム家具があったことを
デザイントリエットを通して初めて知りました。
シェルフには無限の可能性とサイズと色の組み合わせがあり
どんな家でもその家にピッタリな組み合わせを見つけることができます。
色の種類も多いので、組み合わせを楽しむシステム家具ですね。
1990年代
キャンドルスタンドStumpastaken
キャンドルをあまり使わない日本人にはピンとこないかもしれませんが
この商品はスウェーデン人が飛びつきそうなアイデア満載です。
キャンドルが燃え尽きていくことも考慮され
リサイクルなアルミ製でできています。
キャンドルが短くなってきたころには、
飲み物などの保温として利用できるアルミ製の格子ふたもあり
キャンドルの使い方を広げています。
キャンドルを中に収めておけるスペースがあるのも嬉しいですね。
2000年代
ふきんホルダーPluring
キッチンのタイルに付けられるふきんホルダーです。
スポンジワイプやテーブル拭きなど、小ぶりなふきん用です。
これは、若手の起業家を育てるコースで、16歳の女子が考えたアイデアです。
彼女はデザイントリエットに連絡を取り、商品化が叶いました。
便利グッズでお値段も手ごろで、キッチンに整頓された印象を与えます。
今でもデザイントリエットの定番商品です。
強力な粘着テープが後側についていて、タイルに固定します。
2010年代
組み立てスツールEmil
スツールは、すわる以外にも、ものを置いたりと便利に使えます。
ウッドスツールEmil はさまざまな色があり、
少し高めのバースツールもあります。
素材は未処理のブナ材で、合板のシートと脚が付いています。
木は生きている素材であり、
時間の経過ととともに表情を変えていきます。
デザイントリエットでもベストセラーのひとつだそうです。
2020年
スツール/サイドテーブルBit
2021年にデンマークのブランドNormann Copenhagenから発表された
使い勝手が広いスツールです。
サイドテーブルとしてもスツールとしても使えます。
遊び心のある形と魅力的な色合いで、
どのような環境にも個性を加えてくれます。
ピクセル化された表面は、
100%リサイクルされたプラスチック製。
インテリアデザインマガジンの、2021年ベストオブイヤーを受賞しています。
1930年代に登場したデザインが、
今でもスウェーデン人の家庭で見かけるのは
機能的で使い勝手がいいということです。
飽きが来ないシンプルなデザインは
時代を超えて長く受け継がれています。
それに加えて、これから求められるデザインは、
サステイナブルなものであることは間違いありません。
これから生まれるデザインも注目していきたいですね。