
10月に、ストックホルムのマリメッコ店舗での
創立75周年を記念する朝食会に参加しました。
75周年記念企画として紹介されたのが、
マリメッコのデザイナー、エルヤ・ヒルヴィとアンティ・ケッキが手描きした、
75枚の1点ものの大きめのプレートです。

また、アニバーサリー限定カラーの「Kukasta kukkaan」をあしらった、
数量限定のOivaテーブルウェアコレクションも発表されました。
「Kukasta kukkaan」は、最近のマリメッコで目につく手描きの花々が咲き広がったデザインで
2024年にエルヤ・ヒルヴィが描いたものです。
アニバーサリー限定のカラーは、秋らしい紅葉系の色合いが揃いました。
また、テーブルセッティングの中にグリーン系の箸置きもありました。
スウェーデンやフィンランドで、箸置きがどう使うかは分かりませんが、
マリメッコはウニッコの箸置きをすでに販売しています。
今回の箸置きは「Kukasta kukkaan」のシリーズの一環です。






今回の朝食会は、あまり大人数を呼ぶものでもなかったようで、開始時の参加者はわずか5人。
その後、数人が加わったものの、全体でも10人に満たなかったように思います。
そして、参加者の多くは私と同世代のシニアでした。
この光景を見ながら、マリメッコというブランドの現在地について考えずにはいられませんでした。
記憶にあるのは、15年前の、60周年記念のマリメッコでのイベント。
この日のドレスコードは「ヴィンテージマリメッコ」でした。
60年代のヴィンテージのマリメッコを身につけたシニア世代の女性たちは
それはそれは輝いていました。
お店は、人でごった返すほどの大盛況でした。
私たちが好きだったマリメッコ
マリメッコが1951年にフィンランドで誕生してから75年。
大胆な色使いと独創的なプリントは、北欧デザインを象徴する存在となりました。
私にとっても、マリメッコは単に花柄のバッグや服を買うだけのブランドではありません。
北欧らしい自由な発想や、日常生活に色と喜びを取り入れる文化を感じさせてくれる存在です。
スウェーデンでは、フィンランドのブランドを目にする機会は意外と少ない中で、
マリメッコは例外的な存在として、長年にわたり、
スウェーデンでも店舗を構え、多くの人に親しまれてきました。
一時は、ストックホルムだけで3店舗あったこともあります。
年に2回ほどセールをやっている時は、お店が人でごった返す中、
私自身も欲しかったものを頑張って買いに行ったのを覚えています。
そのころは、マリメッコの服をよく買っていました。
色使いやデザインに惹かれ、ほかのブランドにはない個性を感じていたからです。
ところが最近は、マリメッコの店舗を訪れても、欲しいと思う服が見つかりません。
一方で、テーブルウェアやバッグなど、さまざまなコラボレーション商品は次々と登場しています。
企業としてのマリメッコは成長を続けているようです。
しかし、長年のファンである私自身は、以前ほど商品に魅力を感じなくなっています。
この変化は、私の好みが変わったからというより
マリメッコが世界に向けて成長するなかで、
ブランドの魅力そのものも変わってきたように思います。
ファッション性が高まったのか、
若い世代にも魅力的に映る商品が増えているように感じるのです。
一方で、以前のマリメッコに惹かれていた私にとっては、
少しずつ好みとの距離が生まれているように思います。
以下の画像は、2023年に開催されたマリメッコの創業1951年から1975年までを振り返る展覧会のものです。
大胆な色使いもあれば、シックなデザインもありました。








マリメッコは、誰に向かって進んでいるのか
マリメッコは現在、フィンランド国内だけでなく、世界市場での成長を目指しています。
公式に掲げている戦略でも、より幅広い世界の顧客に向けたクリエイティブな発信や、
アジア市場での成長、新しい顧客との接点づくりが重視されています。
そう考えると、最近のコレクションに感じる変化も理解できます。
ブランドが成長するためには、新しい世代に魅力を伝え、
これまでマリメッコを知らなかった人たちにも手に取ってもらう必要があるからです。
けれども、ここで気になることがあります。
新しい顧客を獲得することと、長年のファンが持ち続けてきた愛着を育てること。
その両方を、マリメッコはどのように実現していくのでしょうか。
75周年という記念すべき年に、
店舗で開かれた朝食会に集まった人たちの姿を見て、そんな疑問が浮かびました。
シニアは、もうマリメッコのターゲットではないのか
今回の朝食会の参加者は、私と同世代のシニアが中心でした。
時間的な制限もあるかもしれませんが、何人かは仕事前に寄ったという人もいました。
長年マリメッコを愛用してきた人たちにとって、マリメッコは単なる流行を超えた魅力があるはずです。
若い頃に出会ったデザインを今も覚えていたり、
長く使い続けているバッグやテキスタイルがあったりするかもしれません。
実際に今日来た人たちの中には、
母親もマリメッコファンで、家にヴィンテージがある、と言っていました。
世代を超えて、昔から今のマリメッコまで楽しめるのが面白い、とも。
もちろん、今回の参加者がシニア中心だったからといって、
実際のマリメッコファンもシニアが多いとは断定できません。
それでも、長年のファンが今のコレクションを見て、
以前ほど心を動かされなくなっているとしたら、
それはブランドにとって考える価値のあることではないでしょうか。
年齢を重ねることは、デザインへの関心が薄れることではありません。
むしろ、暮らしや価値観が変わるにつれて、
自分にとって本当に心地よいもの、長く付き合いたいものがはっきりしてきます。
若い世代に向けた新しさを追求する一方で、
長年のファンが今の暮らしの中でも魅力を感じられる商品を提案する。
そんな可能性もあるはずです。
75年の歴史を、未来につなぐために
マリメッコの魅力は、時代を超えて受け継がれてきたプリントの力にあります。
特に、マイヤ・イソラがデザインした「ウニッコ」は
マリメッコを代表するパターンとなりました。
毎年のように、その年の色合いの「ウニッコ」が売られていた時は
毎回その色合いに魅了され、バッグやナプキンなどを手に入れていました。
創立75周年の記念コレクションでは、過去の名作を振り返るだけでなく、
現在のデザイナーの創造性や手仕事にも光が当てられています。
ブランドが新しい表現に挑戦し続けることは、とても大切だと思います。
一方で、長く愛されるブランドであるためには、
新しいファンを増やすことだけでなく、
これまでのファンとの関係をどう育てていくかも重要になります。
年齢を重ねたファンが、今のマリメッコに再び心を動かされる、
そんな出会いを生み出すことも、
75年の歴史を持つブランドだからこそできるのではないでしょうか。
好きなブランドだからこそ、その未来について考えてみたくなりました。
75周年を迎えたマリメッコは、これからどのような人たちと歩んでいくのでしょうか。
新しい世代と、長年のファン。
その両方にとって魅力的なブランドであり続けることができるのか、
これからのマリメッコを、引き続き見ていきたいと思います。
以下の画像は、私が2018年からこれまでに撮影した、マリメッコのストックホルム店内です。











