
ストックホルムメッサで、
8月後半に北欧インテリアフェアFormexが開催されました。
今回のテーマは「Cereblate traditions/伝統を楽しむ」。
AIやデジタル疲れの反動として
「本物・手仕事・個人的なもの」への回帰がテーマです。
エントランス展示は「ウィンターワンダーランド」。
スウェーデンの伝統的なイベントである
ザリガニパーティ、冬のウェディング、クリスマスパーティがレイアウトされました。




私が気になった展示をいくつかご紹介しましょう。
まずは、サステナブルな商品を集めたコーナーです。
サステナブルはもう当たり前になっていますが
工夫を凝らした商品が集まっているのが印象的でした。
特に面白いと思ったのは、缶を開ける時に残るプルタブの再利用です。
これがアクセサリーやバッグに再利用されていました。

また、コーヒーフィルターを使い捨ての紙ではなく
メタル製のフィルターという提案も、今まであったようでなかったかもしれません。
布よりも洗いやすくて使いやすそうです。

その他のサステナブル商品です。






南スウェーデンのエーランド島にある
陶器ブランドParadisverkstadenが発表した
発酵のための器「Den femte årstiden(第五の季節)」も印象的でした。




収穫した野菜を発酵させ、保存し、やがて食卓へ。
収穫から保存、食べるまでの時間をひとつの器でつなぐという発想です。
スウェーデンにも、匂いの強烈な発酵ニシンや
filmjölk/フィルミョルクというヨーグルトに近い発酵乳製品など
昔から発酵食品に馴染みがあります。
発酵食品は、長い冬を越すための保存の知恵でもありました。
この器を見て、私が思い浮かべたのは日本の味噌です。
大豆と麹、塩を仕込み、すぐには食べず、季節を越えて発酵を待つ。
日本では身近な味噌ですが、
そこには「時間をかけて、変化を楽しむ」という文化があります。
「第五の季節」という名前にも、収穫の後に続く、
保存や発酵の時間を楽しむという思いが込められています。
「第五の季節」は「カレンダーには存在しない季節」と表現されています。
収穫が終わり、夏が終わり、保存や発酵が始まる。
その時間を「第五の季節」と呼んでいるのです。
私はスウェーデンで、味噌教室に通ったことがありますが
その時、味噌を長期保存するのにちょうどいい容器がなかったのを思い出します。
こんな素敵な容器があれば、また味噌を作ってみたいな、と思いました。
遠く離れた二つの国に、自然の恵みを保存し、
時間の力で次の季節へつなぐ知恵があることに気づきかされました。
また、今回の会場で目についたのは、
思わず本物と見間違えた
アーティフィシャルフラワーです。
デザインタレントのブースで展示されていたのですが
こんなところになぜ生花が?と思っていました。
その時は、本物の生花だと思ったのです。
しかしよく見ると、なんと造花、アーティフィシャルフラワーなのです。
なんとも本物に近い表現ができていることか。




Aura Copenhagenは、
Emma Stenderが2025年にコペンハーゲンで立ち上げました。
天然の花を扱ってきた経験を生かし、
現在は造花と花器の販売・レンタルを行っています。
「美しさは、はかなくなくてもいい」という考えのもと、
Aura Copenhagenが大切にしているのは、
「美しさは、はかなくある必要はない」という考え方です。
Auraでは、本物のような造花のブーケを
定期的に届ける法人向けサービスを提供しています。
月に一度、オフィスなどを訪問してブーケを交換するため、
季節の花や色彩を手入れなしで楽しめます。
使用する花は、複数の顧客のもとで繰り返し使う循環型のシステム。
花を長く活用することでCO₂削減にもつなげています。
もうひとつ、ほとんど見逃しそうになったブランドです。
端っこの小さなブースに静かに展示していたので、
何気なくまわっているだけでは、通り過ぎてしまします。
なぜ気がついたかというと、プレスキットの中で見つけたからです。
家に帰ってからゆっくり開けようと思っていたプレスキットですが
思ったより中身が多く、バッグに入れ替えた時に見つけたのが「hibi」。
小さなマッチ箱の中に、マッチの形をした「お香」が入っていました。
なんと、日本発祥のブランドで、神戸マッチの商品です。
「hibi」は播磨のマッチと淡路島のお香という、
兵庫県の伝統産業のコラボです。


「hibi」は「10分のアロマ」として、
マッチを擦るだけで、10分香りを楽しむものです。
実際に出展していたのは、南スウェーデンのマルメにある
ZAKKAsineというお店でした。
すでにスウェーデンで販売しているようなので
これがストックホルムでも広まるといいですね。
私が広めている茶道のひとときに
このお香を使うのはいいかも、と思いました。
最後にご紹介したいのは、
もう20年来の付き合いのあるデザイナー Hanna Werningさんがデザインした
松ぼっくりをテーマにしたテキスタイル「Kotte」です。
Axlings Linneは、リネンが持つ独特の特性への情熱と、
個性と風合いのあるテキスタイルをつくりたいという思いから、
1992年にスタートしました。
創業当初から、天然素材であるリネンへの愛情を大切にしながら、
オリジナルの柄をデザインし、時代を超えて愛される品質と
現代的なデザインを融合した製品を生み出してきたブランドです。




松ぼっくりを意味する「Kotte」は、
自然からインスピレーションを得た細部まで描き込まれたデザインで、
松ぼっくり、松葉、緑の葉が調和のとれた色合いで表現されています。
さて、今回のFormexで見つけたものについてご紹介させていただきましたが、
実は今年は、プレス申請から問題が発生しました。
なんと、プレス申請が却下されたのです。これまでこんなことは初めて。
異議申し立てがあれば連絡を、とあったので、
これまでこのウェブサイトで取材してきた記事のリンクを送り
もう20年も取材を続けています。といったメッセージを送ったところ
すぐに許可が降りました。
ホッとしましたが、これまで却下されたのは初めてなので
今はもしかするとAIが申請者を審査し、それで弾かれたのかも、と思います。
私の発信は基本日本語なので、
英語やスウェーデン語では見つけられなかったのかもしれません。
そんなつまづきから始まったFormexですが
ますます内向きになっている印象です。
情報はほぼスウェーデン語のみ、デザイン賞はスウェーデン人対象、
それはそれで、国内需要を増やしていきたい、ということなのかもしれません。
とはいえ、スウェーデンという小国では国内市場は小さいもの。
実際にFormexの出展をやめて、海外に出展している企業もあるようです。
ますます規模が縮小されているFormex、
何を目指しているのかが気になるところです。





