Photo: Almedahls
コロナ禍で落ち着かない日々が続いています。
仕事にも影響がではじめて、何から手をつければいいのか、日々考えながら暮らしています。
今は新しいことを始める時期ではありません。
では何ができるかと考えた時、昔を振り返ってみてはどうかと思い立ちました。
2014年から始まったスカンジナビアン・パターン・コレクション(SPC)という事業、
今年は6年目に入り、新しい文化イベントも企画中です。
そんな中でこのような状況になり、前に進むのが難しくなりました。
そこで、今までやってきたことを思い出してみようと思います。
まず、SPCがどのように始まったのか、というところから振り返ってみます。
スウェーデンデザインの仕事
私は2002年からこのウェブサイトを立ち上げ
スウェーデンデザインを発信し続けています。
そのころはまだフェイスブックも、もちろんインスタグラムもなく
ホームページのみがインターネットにあった時代です。
まだブログというものもありませんでした。
その時代に、ウェブサイトの学校に通って試験的に始めたのが
swedenstyle.comのサイトです。
デザイン情報を発信しながら、スウェーデンのデザインブランドを
日本の輸入業者に紹介していました。
ファニチャーフェアやFormexインテリアフェアに通い
情報を集めては気になるブランドをリサーチしていました。
とはいえ、北欧ブランドは次々に出てくるわけでもなく
日本からの参入も増えてきて、新しいブランドを探すのが難しくなってきました。
同じブランドを異なる輸入業者が取り合うこともありました。
そのうちに、スウェーデン人デザイナーを
日本に紹介する仕事にシフトしていきました。
有能なスウェーデン人デザイナーを紹介し、
日本企業と仕事ができないかと考えました。
しかしこれはほとんど仕事になりませんでした。
TV番組で13人のデザイナーをフューチャーする企画
「オーレ・エクセルとスウェーデンデザイン」ができたのがやっとで
その後は仕事につながっていません。
ただ単にデザイナーを紹介するだけでは
その先に進むのがとても難しいことを知りました。
さまざまな北欧デザイナーをリサーチしているうちに
魅力的な「パターンデザイン」や「グラフィック」があることに気が付きました。
そこで、「パターンデザイン」を紹介する仕事がしたいと思いつき
自分なりに少し動いていましたが、なかなかビジネスにつながりません。
私はスウェーデンが拠点なので、北欧デザイナーを探すことは問題ありませんが
日本のクライアントを探すことが至難の技です。
そんな思いを抱いていた時に出会ったのが
今のビジネスパートナーである、アンドフィーカの今泉幸子さんです。
スウェーデンのパターンに魅了
さて、この記事のトップ画像に使っているのは
テキスタイル企業アルメダールスの「ハーブポット」というデザインです。
実はアルメダールスとの出会いが、
私がスウェーデンのパターンデザインに魅了された所以です。
「ハーブポット」はアストリッド・サンペが1955年にデザインしました。
アストリッド・サンペはスウェーデンを代表するテキスタイルデザイナーで、
1930年代にNKデパートのテキスタイル部門のチーフとして活躍し、
その後もスウェーデンのテキスタイル界の巨匠として、今でも影響を与えています。
Photo: Persons Kryddskåp/Bukowskis
「ハーブポット/Persons Kryddskåp」は、
著名なセラミスト、シグネ・ペーション・メリンが
1950年代初めに作られたスパイス用の陶器がモチーフです。
この陶器にインスピレーションを受けたサンペが 、
テキスタイルのデザインに採用しました。
そのデザインをアルメダールスが当時では画期的なプリント技術で
明瞭な色のテキスタイルを作り出しました。
1950年代当時では、このようなプリント技術は斬新で大きな注目を浴び 、
壁のインテリアやテーブルクロス、エプロンなどに使われました。
50年の時を経て、アルメダールスはこのハーブスポットの復刻版を発表しました。
そして今でもキッチンタオルやその他のキッチングッズのデザインに使われています。
アルメダールスは当メルマガでも2005年に紹介していますが
日本の輸入業者さんに扱っていただくことは念願でした。
当時一緒に仕事をしていた輸入業者アルコデザインが今でも扱ってくれています。
下記の画像をクリックすると、アルコストアのサイトからお求めいただけます。
アルメダールスには、ミッドセンチュリー時代に作られたパターンデザインがたくさんあります。
本当に、いつまで眺めていても飽きないデザインばかりです。
このアルメダールスのパターンデザインとの出会いが
私がパターンデザインに魅了された始まりでした。
パターンデザインに魅了されたことが
パターン事業を始めようと思ったきっかけであり
今泉幸子さんとの出会いにより、その思いが形になっていきます。
続きは次回(SPC秘話Vor.2)に。