スカンジナビアン・パターン・コレクション裏話その4、SPCが形になっていくまで

前回のアップから少し時間が経ってしまいました。

六本木のファミレス「天狗」での食事会の後

ビジネスパートナーとなる今泉幸子さんと

お互いが抱えていた思いを吐き出しました。

お互いに北欧相手に仕事をしているので

「北欧あるある」の話しなど、

苦労も経験した者同士の正直な話ができました。

そして、お互いに北欧のグラフィックデザインが

素晴らしいと思っていたことと

日本のものづくりが優れていることで意見が一致しました。

北欧パターンを使った日本産の商品は世界一になると夢を語り合い

北欧パターンを日本で展開していく話しがトントン拍子に進みました。

 

私はスウェーデンが拠点ですので

北欧の情報や人々とコンタクトは問題ありませんが

日本とのやりとりに距離を感じていました。

幸子さんはその逆で、日本でのビジネス展開には問題ありませんが

北欧の情報や人々とのコンタクトに距離感がありました。

お互いが東京とストックホルムにいることで

それぞれの拠点に焦点を当てることで

仕事の割り振りが明確になり、可能性が広がっていきました。

 

また、私がずっと抱えていた悩みとして

日本相手に仕事をする場合

「北欧」という表現になってしまうことへの違和感がありました。

日本から見れば「北欧」ですが

スウェーデンに住んでいる立場からすると

スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランドと

5カ国もあるのに「北欧」とひとくくりにするのに無理があると感じていました。

それは、日本も中国も韓国もひとまとめにする

「東アジア」に匹敵すると思っていました。

日本と中国と韓国、文化は似ていますが、ひとくくりにするには無理があります。

とはいえ日本から見ると「スウェーデン」ではどうしても印象が弱く

ビジネス観点からすると「北欧」がいいということでした。

そのように、日本からの視点で明確に指摘してもらえるのは有り難いことでした。

「北欧」というと英語で「Nordic」となり

北欧人にはその方がわかりやすいのですが、

日本ではノルディックスキーやノルディックウォークの印象が強いということで

「スカンジナビア」という言葉を使うことにしました。

スカンジナビアは正式にはスウェーデン、デンマーク、ノルウェーの3カ国ですが

フィンランド人もアイスランド人もスカンジナビアと言われても

特に異論はないようで、その点はあまり問題はありませんでした。

新しいビジネスのブランド名は

スカンジナビアン・パターン・コレクション。
Scandinavian Pattern Collection

そのまんまですが、わかりやすい名前がいいと考えました。

ちょっと長いので、イニシャルのSPCと呼んでいます。

 

次の課題はパターンデザインを得意とする北欧デザイナーを募ることでした。

インテリアフェアでリサーチしたり、知り合いのツテなどを利用し

デザイナーをリストアップしていきました。

ストックホルムで開催されるインテリアフェアFormex

新しいデザイナーを見つけるには最適のフェアです。

Young Designersというブースは、若手デザイナー発掘の場所として注目されています。

また、有能なデザイナーを集めるためにとても助かったのは

PR会社の方の協力でした。

イベントなどで時々顔を合わせて知り合いになっていた

Plodderのウリカさんは、私が新しいビジネスのために

北欧デザイナーを募りたいと相談したところ

特別価格で宣伝を引き受けてくれました。

ウリカさんのコネで、私では直接コンタクトできそうにない

憧れのデザイナーにも会うことができました。

 

そしてもうひとつ忘れてはならないのが

ブロキガのスティーナ・ウィルセンの存在です。

私と幸子さんの新しいビジネスには

ブロキガのメンバーが初めから加わっていたのです。

(ブロキガについては裏話2裏話3をご覧ください)

スティーナ・ウィルセンはスウェーデンでは

誰もが知っている著名なイラストレーターです。

スティーナが私たち新参者のビジネスに初めから加わっていることは

北欧デザイナーを募るにあたって高い信頼を得られたのです。

 

北欧デザイナーを日本に紹介するにあたり

私たちがこだわっていたことがあります。

それは「デザインは特別な人のためではなく、みんなのもの」

という北欧デザインのコンセプトをSPCでも伝えていくことです。

ただパターンデザインを紹介するだけでなく

デザイナーがパターンに込める思いも伝えたいと思っていました。

パターンデザインは、そのタイトルやストーリーまで伝えることは

手間もかかるため、通常はそこまで情報が与えられていません。

例えば同じ北欧の森でも、それがフィンランド北部なのか、

南スウェーデンなのか、その場所によって印象が変わってきます。

私たちはそこまで伝えたいと願っていました。

 

ストックホルムの当時私が借りていたシェアオフィスで

何日かに分けてデザイナー向けの説明会を開きました。

私たちの思いは多くの北欧デザイナーの共感を得ることができ

20人を超えるデザイナーに登録してもらえることとなりました。

中には以前から憧れていたデザイナーもいて、感無量でした。

 

デザイナーへの説明会が2013年の9月で

SPCが正式にリリースされたのが2014年の2月です。

当初のデザイナー数は23名でしたが

現在は35名にまで増えました。

今ではデザイナーと一緒に成長していくことを願っています。

 

もうひとつのSPCの大きなの特徴は

北欧デザイナーと日本の伝統文化とのプロジェクト企画です。

この件につきましては、ただいまSPCインスタグラムから、

これまでの文化プロジェクトを振り返ってアップしていますので、併せてご覧下さい。

SPCインスタグラム

 

続きのSPC裏話につきましては、また思いが固まったらアップしたいと思います。

 

画像はインテリアフェアFormexに出展していたデザイナーたちです。


インテリアフェアFormexのYoung Designersのブースに出展したFyran


インテリアフェアFormexのYoung Designersのブースに出展したJohanna Högväg


オリジナルブランドFLORYDは、毎回Formexにブースを出展している


Formexにオリジナル商品を出展したJenny Wallmark


憧れのデザイナーAnn-Carin Wiktorssonは、
大手ブランドSagaformなどにデザインを提供し
Formexでもプレスリリースに登場していた。

 

 

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